【現役営業企画マネージャーが徹底解説】営業企画ってどんな仕事?仕事内容ややりがい、必要なスキルとは

営業企画とは、自社の商品やサービスの売り上げやシェアの向上などを目的として営業戦略の立案や営業の仕組み作りをする仕事です。営業活動においては、成果と効率が常に求められます。この要求に応えるために、営業企画は重要なミッションや機能を持っている部署の1つです。 
かく言う筆者も、現在 営業支援の会社で営業企画として働いているので、リアルな視点を踏まえて営業企画の仕事を解説していきます。 



目次[非表示]

  1. 1.営業企画の仕事 
    1. 1.1.営業戦略の立案 
    2. 1.2.営業の仕組化
    3. 1.3.営業活動の改善 
  2. 2.セールスイネーブルメントとの違い 
  3. 3.やりがい
    1. 3.1.戦略立案などの上流工程へのチャレンジ 
    2. 3.2.事業全体など成果の影響範囲が大きい 
  4. 4.必要なスキル
    1. 4.1.営業力
    2. 4.2.コミュニケーション能力
    3. 4.3.分析能力
    4. 4.4.企画力
  5. 5.終わりに



営業企画の仕事 

営業企画の仕事をまずは大枠ではありますが、下記の図にまとめました。 

前提として、営業企画は基本的には自分自身が営業活動を行うことはなく、戦略を描いたり、営業活動の改善をすることで、営業組織全体の成果向上を目指します。 
営業戦略の立案をして、それを営業活動に落とし込みます。そして、営業パーソンが活動した結果を基に改善活動を行いさらなる成果向上を目指します。 

営業企画の仕事は多岐に渡るイメージを持たれたかと思います。並行してマルチの施策を推進していくことは実際にあります。一方で、営業企画の担う役割や領域は、企業によって大きく異なります。なので求人を見る際は『業務内容』から、どの領域をミッションにしている組織なをしっかりと確認しましょう。 
 
ここからはカテゴリ毎に詳しくお伝えします。 


営業戦略の立案 

営業企画の仕事は、営業戦略全体をデザインし、具体化する役割を担います。営業企画のあり方は会社によっても異なりますが、事業計画から下りてきた売上や利益の目標を、より具体的に達成するための目標設計から始まります。この目標設計は、営業活動の全体的な方針と目指すべき方向を示すベースとなります。 
市場分析では、競合他社の動向、市場のトレンド、顧客のニーズといった要素を深く掘り下げ、自社の製品やサービスがどのように市場にフィットするかを理解するためのものです。この分析を通じて、市場での自社の強みと弱み、機会と脅威を明らかにし、それに基づいて戦略を策定します。3C分析やSWOT分析などのフレームワークを使って情報整理をすることもあります。 
 
また、ターゲット選定では、自社の製品やサービスが最もニーズが高いであろう顧客層を特定します。この選定プロセスでは、顧客層の特性、購買行動、ニーズを分析し、最も効果的なアプローチを考案します。 
 
さらに、営業スキームやチャネル戦略を立案します。これは、製品やサービスを市場にどのように展開し、顧客に届けるかを計画する作業です。直接販売、オンライン販売、パートナーシップを活用するなど、様々なチャネルを検討し最も効果的な販売戦略策定します。 
 
これらの一連の業務は、いわゆる「自社サービスの勝ち筋」を見出すためのとても大事なプロセスで、営業企画は大局観的な戦い方を設計する重要な役割を持っています。


営業の仕組化

このプロセスでは、上記の戦略を営業シーンで実行できる形にしていきます。営業活動の効率と効果を最大化するための重要なプロセスで、以下に、その主要な要素を具体的に解説します。 

まず、「KPI(重要業績評価指標)・KGI(重要目標達成指標)などの営業プロセス設計」では、営業チームが達成すべき具体的な目標と、その達成度を測る指標を定めます。これにより、営業活動の具体性と評価基準が明確になり、チームのパフォーマンスを計る物差しとなります。 
 
次に、「セールスコンテンツの拡充」では、営業チームが利用する資料やプレゼンテーション、製品情報などのコンテンツを充実させます。これにより、営業員が顧客に対してより説得力のある提案を行えるようサポートします。近年では、商談資料だけではなく、購買意欲を高めるための、導入事例集や啓蒙活動用のホワイトペーパー販促動画などを作る動きも注目されています。 
 
また「営業トークの設計」では、トークスクリプト=”営業の台本”を作ることで、営業スキルや成果の水準を上げる取り組みです。トップセールスの言い回しや質問などを分析して言語化し、営業チーム全員が使える形にしていきます。加えて、FAQやボトルネックに対しての応酬トークなど細かく設計することでより効果を発揮します。 

「営業オペレーションの整備」 は、営業プロセスの日々の運用を円滑にするための活動です。これには、営業活動の流れを標準化し、効率化を図ることが含まれます。近年ではSFA(営業支援ツール)やCRM(顧客関係管理システム)といったITツールが普及してきました。これらを効果的に使うことで、営業データの蓄積や営業成果の集計・可視化が用意にできるようになるなどメリットが多く、営業インフラと言われたりします。これらのツールが営業活動の基盤になるため、重要性は非常に高く、このツールを管理・設計する人材を専任で置く組織も珍しくありません。 
 
これらの一連の活動は、営業チームがより効果的に働くため基盤を作り、組織全体営業成果を大きく向上させることができます。これらは、営業活動と直結するため、営業企画の業務の中でもコアな部分と言えます。 


営業活動の改善 

営業企画が自ら営業活動をすることはあまりないので、営業チームの結果をもとに改善点の発見や改善活動を推進していきます。 
 
まず営業成果の分析を通じて、営業活動の結果を詳細に検証し、成功した点と改善が必要な点を特定します。この分析では、売上やアポ獲得率、成約率などの数値だけでなく、受注傾向や失注傾向顧客セグメント別の反応など定性情報など、多角的な視点から行われます。ここから得られるインサイトは、営業戦略の調整に不可欠な情報となります。 
 
「改善施策の立案」では、上記の分析結果をもとに、具体的な改善プランを作成します。これには、トークの改善、ターゲット市場の再定義、コンテンツの追加などが含まれます。このように仕組み面(ハード面)で改善を目指していきます。 
 
一方で、「営業パーソン」に着目してソフト面の向上を目指すのが、「営業トレーニング推進」です。これは、新しい営業技術の導入、製品知識の強化、対人スキルのトレーニングなどを通じて行われます。”営業特化の研修”というイメージを持っていただければと思います。 
仕組みやツールはあくまでも”武器”なので、その武器を使うためには本人のトレーニングが必要です。これらを体系的に行うことで、チームとしての営業力の底上げを実現できるため、ここに力を入れている組織は多いです。 
 
これらの改善活動を通じて、営業成果を上げるためのいわゆるPDCAを回し続けていきます。 



セールスイネーブルメントとの違い 

近年、セールスイネーブルメント(Sales Enablement)という職種が広まってきています。決まった定義がある訳ではないですが、平たく言うと「みんな売れる営業組織を作る」という目的を実現するための役割と言われることが多く、営業企画と近しい(というよりは被っている)役割やミッションを持っています。 
もう少し具体的には、トレーニングによる営業力強化や営業オペレーションの整備などを担うことが多いです。 

営業企画との違いとしては、先ほどの図でいうこの枠内の領域を担っていることが多いです。

共通する部分もありますが、セールスイネーブルメントは営業チームに対しての適切なツール、リソース、トレーニングの提供が含まれ、営業チームが目標に向かってスムーズに進むための支援を行う傾向が強いです。 
ただ、これはあくまで一般化された傾向で、実際には「営業戦略の立案」領域を担うセールスイネーブルメント組織もありますので、実際に求人を見る時『業務内容』からどの領域ミッションしている組織な、しっかりと確認しましょう


やりがい

営業企画の仕事は、チームとしての成果を上げるため「縁の下の力持ち」的な活動や成果となることが多いです。また、施策によっては実行してから成果が見えるまで、半年や1年以上もの時間がかかることもあります。 
筆者も身をもって体験しているのですが、自分で売上や数字を作る営業パーソンと違い、営業企画の仕事は成果実感がやや薄かったり、時間がかかったりすることもあります。 
ただそれ以上に、営業企画の仕事は影響範囲が広かったり、成果のインパクトが大きかったりとやりがいを感じる部分がとても多い仕事です。下記で具体的にお伝えします。 


戦略立案などの上流工程へのチャレンジ 

これは営業パーソンからのキャリアアップの文脈になりますが、市場分析や営業の戦略立案などの上流工程へのチャレンジとなるため大きな成長機会となります。 
営業企画の役割は、営業現場と密接に関連しているため、実際の顧客声や市場動きを理解していることが、効果的な戦略を策定する上で大きな利点となります。なので、営業職からのキャリアアップであればこれまでの経験をしっかりと活かしつつ、新しい挑戦ができるという魅力があります。こういった点から営業職からのネクストキャリアとして営業企画は人気があります。 


事業全体など成果の影響範囲が大きい 

営業企画の役割は、成果の影響力が非常に大きいという点が魅力の1つでもあります。営業企画が策定する戦略や施策は、事業全体の方針と成長に大きな影響を与えます。 
また、営業プロセスの最適化や効率化は、売上の増加に直結します。例えば、10人の営業チームにおいて、一人の成績が10%アップする取り組みももちろん大事なことではありますが、チーム全体で5%上がった方が全体の成果としては大きいです。「地味だけど影響力が大きい」と一見矛盾した表現かもしれませんが、このように、営業企画の仕事は、局所的な成功を超えて組織全体への広い影響力を発揮できる点で、それがこの仕事の大きな魅力です。 



必要なスキル

営業企画はここまでご覧いただいた通り、役割がとても多岐に渡るため、必要なスキルも広く求められます。ここでは多くのケースで共通して言われることの多いスキルを4つ紹介します。


営業力

営業企画として「いい仕事」をするには、やはり個人の営業力が非常に重要です。実際に営業活動をするわけではないですが、いわゆる”現場感”が戦略立案や営業課題の解決の質を高めるからです。 
逆に言えば、営業経験のない人が考えた営業トレーニングや営業の仕組みや残念ながら実態との乖離があったり、絵に描いた餅になってしまう可能性が高いです。 
営業経験があると、ターゲットの勘どころ、顧客のニーズ、競合戦略などを深く理解しやすくなります。このように営業力は、様々な取り組みを効果的に実行するためのベースとなります。 


コミュニケーション能力

営業企画の仕事は、様々な部署との連携をしながら仕事を進めていくことが多いのが特徴です。例えば営業戦略の立案は営業部長、事業責任者、マーケティング担当などと連携しながら計画や戦略を立てていくことが多いです。一方で、営業活動の改善については、いわゆるトップセールスから売れる要因やノウハウを聞くためにインタビューをしたり、逆に上手く行ってない人の要因分析をすることもあります。このように様々な役割や役職の人とモノゴトを推進することが多いため、相手の立場になって考える力や意図目的を言語化し意思疎通図る力が必要とされます。 


分析能力

分析能力は、自分たちの市場データや営業成績を理解し、それらから有益な洞察を引き出すために重要です。営業企画においては、データドリブン(データ駆動型)の意思決定が常に求められ、市場のトレンド、顧客行動、競合の戦略などの多様なデータを分析し、その結果を基に戦略を策定する必要があります。時にはPEST分析やSWOT分析、5フォース分析といったフレームワークを使って情報を整理したりすることもあります。 
また、営業成績のデータの中から、改善インパクトが大きい課題や、多くの人に共通する課題などを探すために、具体と抽象を行き来して原因や対策を考えることもあります。それを精度高く行うためにも分析能力は営業企画に求められるスキルとして挙げられます。 


企画力

営業企画というからには、やはり企画力は必要となります。例えば、何か改善活動をする時は、現状把握、問題の選定原因の特定、対策立案、改善後見込み、など企画ステップを踏みます。これらの裏付けや目的がないと営業現場ではなかなか実戦してくれません。行き当たりばったりの改善を何度も繰り返してしまうと現場も混乱してしまったり、場合によっては営業企画の提案に耳を傾けてくれなくなってしまう可能性もあります。 
そうならないためにも、むやみやたらに何かを変えていくのではなく、計画的に物事を進めていくことが求められます。 


終わりに

ここまで、営業企画の仕事、やりがい、必要なスキルについてご紹介しました。営業職のネクストキャリアとして人気のある営業企画の仕事について、かなりリアルな部分までお伝えできたかと思います。 
私自身も営業企画として活動しており、日々の業務が決して華やかなものではないですが(笑)、コツコツ積み上げたものが上手く行った時は大きな喜びを感じます。このコラムを通じて、営業企画の仕事についての理解が深まったと思っていただけたら幸いです。 
もし営業企画への転職をお考えでしたら、SQiL Career Agentにお気軽にご相談ください。 
最後までお読みいただき、ありがとうございました! 



著者 株式会社セレブリックス/木下 昌洋
著者 株式会社セレブリックス/木下 昌洋
静岡大学 人文学部(現 人文社会科学部)卒業。新卒で飲食店に就職し、店長/料理長を経て、営業の総合支援会社であるセレブリックスに入社。 営業代行でのプレイヤーやマネジメントを経験したのち、現在は営業企画として新規案件の戦略立案や社内のセールステック推進などを行っている。延べ100商材以上の支援を経験。

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