【未経験から営業職】営業職というキャリアの魅力と厳しさを分かりやすく紹介
株式会社グローカルのシニアコンサルタント志村匠斗と申します。
私は大学・大学院と薬学の研究を行い、国立の研究機関で数か月間研究に従事した経験があります。しかしながら、新卒で研究職ではなく営業職としてキャリアをスタートし、その後、事業企画、営業企画、マーケティング、インサイドセールスを経験し、現在は中小企業に対して経営コンサルティングを行う株式会社グローカルのシニアコンサルタントとして仕事をしております。
本記事では、これから営業職にチャレンジしようと考えている方に向けて、
- そもそも営業職とはどういう仕事か
- 営業職というキャリアの魅力と厳しさ
- これから営業職を目指す方が持つべき心構え
について、実体験を踏まえて紹介させていただきます。
本記事を読むことで、営業職として働くイメージが湧き、新たなキャリアのスタートダッシュを切るきっかけになれば嬉しいです。
目次[非表示]
- 1.営業職とは
- 2.営業職というキャリアの魅力
- 3.営業職に求められるもの
- 3.1.コミュニケーション能力
- 3.2.課題をとらえる力
- 3.3.成果を出そうとする貪欲さ
- 4.営業職というキャリアの厳しさ
- 5.営業職を目指す方が持つべき心構え
- 5.1.課題解決こそが価値
- 5.2.行動量は裏切らない
- 5.3.走りながら考える
- 5.4.良い意味で楽観的であれ
- 6.【まとめ】営業職のキャリアは武器になる
営業職とは
そもそも、営業職とはどのような仕事なのでしょうか。
Wikipedia によれば、” 見込み客に自社の物品・サービスまたは情報といった財(商品)の購入を促して、売買契約を結ぶ職業 ” とあります。お客様に商品の提案をして契約につなげる仕事全般が、営業職という仕事です。もちろん、お客様や商品、提案の仕方によって「法人営業」「個人営業」「インサイドセールス」など様々な名称がつけられますが、根本的な役割は同じです。お客様に商品やサービスを提供しなければ売上が生まれないことから、営業職は企業にとって非常に重要な役割を担っています。
お客様に何かを売る仕事として販売職も挙げることができます。しかし、販売職と営業職ではお客様の状態が異なります。販売職は店舗に来たお客様の購入をサポートする仕事です。店舗に足を運ぶぐらいですから、基本的にお客様には何らかの商品を購入する意思があります。一方で営業職が相手にするお客様は購入する意思がない方も含まれます。このようなお客様のお悩みを聞き、その解決に繋がるような提案をすることで、購入や契約を促す仕事が営業職です。そのため、販売職と営業職は異なる仕事といえます。
営業職というキャリアの魅力
営業職は企業経営において最も重要な「利益」を作る仕事です。これだけでも非常に魅力的ではあるのですが、私なりに営業職というキャリアを考えた時、3 つの魅力があると思っています。
- ビジネスの基礎であり根幹
- 様々な仕事に応用が利く
- 出会いの機会が多い
1 つ目の魅力は「ビジネスの基礎であり根幹」という点です。
企業経営の目的は、大きく「より良い社会を創ること」と「従業員の幸福を追及すること」の 2 つに分けられます。より良い社会を創るために、企業は新たな価値を生み出し、世に届けていく必要があります。企業が生み出した価値を世に届ける役割を担うのが「営業職」です。そして、その価値をお金に変えることで、企業はまた新しい価値を生み出すための資金を得たり、従業員に対価を支払うこともできます。つまり、営業職は企業活動にとって重要なお金を生み出す役割を担っているということです。お金がなければ企業は存続できないため、営業職がビジネスの根幹を担っているといっても過言ではないでしょう。
2 つ目の魅力は「様々な仕事に応用が利く」という点です。
営業職は商品やサービスの価値を伝え、購入を促す仕事ですが、相手が行動を起こしたくなるようなコミュニケーションをとる仕事とも言えます。ビジネスでは様々な人とコミュニケーションをとる必要があります。自分の意思や意図を、相手にとってメリットのある形で伝えられるということは、いかなる仕事であっても求められる重要なスキルです。
また、営業職は企業の存続に必要なお金を生み出す仕事です。そのため、どうすれば利益があるのかを常に考える仕事になります。自分が損をしないために、チームが損をしないために、企業が損をしないために、という考えはどんな仕事や部署であれ重要になる考え方です。
以上から、営業職は仕事で求められる基礎能力を磨くことができるため、様々な仕事に応用が利くと言えます。
3 つ目の魅力は「出会いの機会が多い」ことです。
営業職は取引先をはじめ、様々な方にお会いする機会が多い仕事です。また、新たな取引先を得るために自ら出会いを作ることが求められる仕事です。もちろん、積極的に行動さえすれば、どんな仕事であっても出会いを作ることはできますが、営業職は仕事の中でも出会いを作ることができる数少ない仕事です。結果として、様々な職種の中でも出会いの機会が多く、自社だけでは得られない知見を得る機会も多い仕事と言えます。
営業職に求められるもの
では、営業職という仕事には、どのような能力や資質が求められるのでしょうか。ここでは年間 5,000 件以上の履歴書を読み、300 名以上の転職希望者の面接対策をした経験をもとに、営業職に求められるものをまとめます。
コミュニケーション能力
1 つ目は、コミュニケーション能力です。
ここで言うコミュニケーション能力とは、ただ話すことが得意ということや、誰とでも話すことができることではありません。相手の立場や状況に合わせて柔軟に会話を組み立てることができる能力を指します。
営業職が相手にするお客様は、所属している会社も、置かれている立場も、積み重ねてきた経験もバラバラです。友人、両親、先輩、先生など、相手の立場によって話す内容を変えるように、お客様によって話す内容を変えることができなければ、営業職という仕事は成り立ちません。お客様の状況や理解度に応じて、様々な角度で自社の商品やサービスを紹介してはじめて、購入する意思がなかったお客様から契約を獲得することができます。
課題をとらえる力
2 つ目は、課題をとらえる力です。
これは、お客様の悩みや課題を引き出すヒアリングの力と、引き出した内容を整理し、悩みや課題の本質を見抜く力に分けることができます。
先にお伝えした通り、営業職が相手にするお客様は購入する意思を持っていない場合があります。はじめは「必要ない」と断られることもあるでしょう。しかしながら、これは商品やサービスを詳しく知らないからこその誤解であることも少なくありません。お客様の悩みを聞き出すことで、自社の商品やサービスがお客様の課題解決に繋がる可能性もあります。この悩みや課題をうまく引き出せるかどうかが営業職で成果を出すために求められる能力といえます。
また、お客様から引き出した悩みや課題、希望や要望は、必ずしも正しいとは限りません。
例えば、あなたの友人が「アイスが食べたい」といっていたからと言って、アイスを買ってあげれば良いわけではありません。
なぜアイスを食べたいと言っているのかな
⇒ 確かに最近暑い日が続いているし、冷たいものを口に入れたい気持ちはわかるな
⇒ 涼しい気分になりたいだけなら、飲み物でもいいのかもしれないな
⇒ そういえば最近友人はダイエットをはじめていたな
⇒ 高カロリーなアイスよりも、低カロリーな冷たいお茶の方がいいのかもな
このように、悩みや課題、希望や要望の裏側にある本質を捉えることが、提案に繋がります。良い意味でお客様の言いなりになることなく、自社の商品やサービスの提案につなげていけるかどうかも営業職に求められる能力の 1 つです。
成果を出そうとする貪欲さ
3 つ目は、成果を出そうとする貪欲さです。
営業職の役割は利益を生み出すことです。利益を上げることができなければ、企業そのものが立ちいかなくなってしまいます。だからこそ、営業職は企業が継続して存在し続けるために、利益を出さなければなりません。基本的に営業職には売上の目標が課されます。与えられた目標を達成するために、日々仕事に打ち込む必要があります。この目標をどの程度達成できるかが営業職の評価を大きく左右するため、目標達成こそが営業職の成果といえます。
仕事に対する考え方や、仕事の進め方は人それぞれ違っていて良いとはいえ、営業職である以上は成果を出すためにひた向きにならなければならない瞬間が訪れます。そして、成果というものは、その場しのぎの行動だけではどうにもならない場合があります。常に成果を出すために何ができるかを考え、行動に移していけるような貪欲さを持っていなければ、営業職という仕事を続けることは難しいかもしれません。
営業職というキャリアの厳しさ
よく、営業職は厳しく大変な仕事と言われます。営業職を経験した立場から、営業職というキャリアの厳しさを 3 つ紹介します。
- 常に数字が付きまとう
- お客様の都合を優先しなければならない
- 業界や商材によって戦い方を変えなければならない
1 つ目は「常に数字が付きまとう」という点です。
営業職の使命は企業に利益をもたらすことです。利益が出なければ企業は存続できません。だからこそ、売上や利益の目標を達成することが強く求められます。そして、目標達成に向けたプロセスも厳しく見られます。
「 1 日何件アポイントを取ったのか」
「週に何件商談を行ったのか」
「月の売上目標まであと何万円なのか」
など、常に数字で評価される仕事です。
そして、売上や利益という結果が重視される仕事でもあります。結果が出れば何をしてもいいとまではいきませんが、どれだけ素晴らしい行動をしても、結果がついてこなければ高い評価を得ることは困難です。毎日数字と向き合うため、慣れないうちは非常に苦しい仕事だと言えます。
2 つ目は「お客様の都合を優先しなければならない」という点です。
打ち合わせの日時や場所、会食の内容など、お客様が気持ちよく商談に臨んでくれるよう、様々な気配りをする必要があります。なぜなら、自社に利益をもたらすのはお客様であり、利益を追及するのが営業職の使命だからです。務めている会社のスタンスにもよりますが、自分の休みを犠牲にしてでもお客様に合わせることも、お客様から無理難題を押し付けられ日が変わるまで残業することもあり得るのが営業職という仕事です。自分のペースで仕事をすることに強いこだわりがある方には合わない可能性がある仕事と言えます。
3 つ目は「業界や商材によって戦い方を変えなければならない」という点です。
営業職は業界や商材によって求められる動きが異なります。契約 1 件当たりの金額が高い業界や商材の営業職は、じっくり時間をかけてお客様とコミュニケーションを取ります。一方で契約 1 件当たりの金額が安い業界や商材の営業職は、いかに効率よく数をこなすかが重視され、日々大量のアポイントや商談をさばいていくような営業になっていきます。全ての業界や商材に通用する営業手法はありません。置かれている状況に合わせて柔軟に行動しなければ、成果を出すことは困難です。そのため、覚えたことを着実にこなしていきたいと考える方には難易度の高い仕事だと言えます。
営業職を目指す方が持つべき心構え
では、これから営業職を目指す方は、どのような心構えを持っていれば良いのでしょうか。ここでは、私の営業としての実体験や、経営コンサルタントとして様々な企業を見てきた経験をもとに、4 つの心構えをご紹介します。
課題解決こそが価値
冒頭で紹介した通り、営業職はお客様に商品やサービスの提案をして契約につなげる仕事です。しかしながら、お客様は商品やサービスそのものが欲しくて契約をしているわけではありません。お客様が抱えている悩みや課題に対して、商品やサービスが解決に繋がると考えるからこそ、お客様がその商品やサービスに対価を支払うだけの価値があると判断して、結果的に契約をするのです。この構造を理解していないと、とにかくお客様に商品やサービスを売り込むだけになってしまい、お客様に価値を感じていただくことはできません。
営業職の基本はお客様の課題を解決することです。その手段として商品やサービスがあるにすぎないということを忘れないでください。
行動量は裏切らない
どれだけ頭で考えても、行動に移さなければ何も生まれません。そして、経験を積めば積むほど行動は最適化されていきます。仕事もスポーツも勉強も積み重ねが大切です。
私自身、新卒で入った企業では出来るだけ無駄な行動はしたくないと考え、頭でシミュレーションしては再検討を繰り返し、行動に移すまでに長い時間をかけていました。上司や先輩にひどく叱られ、しぶしぶ行動量を追いはじめたのですが、結果的に行動した方が自分の中に情報が増え、何が必要で何が無駄なのかを根拠をもって切り分けられるようになりました。「百聞は一見にしかず」とはよく言ったものだなと感心したのを覚えています。
誰でも最初は不格好で非効率なものです。かっこ悪くてもとにかく行動をしてみてください。量が質を凌駕する瞬間に出会えるはずです。
走りながら考える
行動量が大切とは言いましたが、同じことをただ続けていては改善は見込めません。時間と体力は有限です。いつか量では解決できない問題が立ちはだかる日が来ます。だからこそ、常に改善できるところを探し、日々の行動を変えていく必要があります。あなたが見つけた改善点が、あなたの営業の質を上げ、いずれあなたの強みに変わっていきます。
良い意味で楽観的であれ
営業職は常に数字に追われる厳しい仕事です。また、日々お客様の課題解決に向けて行動し、自分自身の行動の質を上げるために考え続けなければならない仕事です。とはいえ、誰もがストイックに仕事ができるわけではありません。そして、どれだけ頑張っても上手くいかないときもあります。そんな時、あまり自分を追い詰めないでください。深刻になりすぎると、いつか限界を迎え、あなたにとって好ましくない状況が生まれてしまいます。
「これだけ頑張っても成果が出なかったなら仕方ない」
「今回はダメだったけど、また次頑張ればいいか」
「たまには美味しいものを食べてリフレッシュしよう」
など、楽観的になり、自分を許せるようになりましょう。失敗は誰にだってあります。
【まとめ】営業職のキャリアは武器になる
本記事では、私の実体験を踏まえて、営業職の魅力や厳しさ、心構えを紹介しました。
私は研究者の道を諦め、営業職としてキャリアをスタートしています。当初は周りから「なんでわざわざ営業職なんて選んだんだ」と言われましたし、実際の営業職は自分が思うほど簡単な仕事ではありませんでした。しかし、営業職として成果が出せるようになり、その経験が評価されて企画の仕事にチャレンジができ、今では経営コンサルタントとして様々な企業に助言ができる立場になりました。運が良かったことは否定しませんが、企画職やコンサルタントの根幹には、営業職で得た経験があります。
企画職では、市場が何を求めているのか、それに対して自社はどんな価値を提供できるのか、どうすればお客様は自社に振り向いてくれるのかを常に考えることが求められていたのですが、営業職の経験があったからこそスムーズに取り組むことが出来ました。
また経営コンサルタントとしては、企業や経営者の課題は何か、課題解決に向けて何をすれば良いのか、限られた時間で成果を出すためには何をすべきかを考えることが求められます。これも、営業職で得た経験を活かし、経営者に納得いただけるよう配慮しながらプロジェクトを進めています。
本記事が、これから営業職にチャレンジしようと考えている方にとって、覚悟と勇気を与えるものになっていれば、とても嬉しく思います。