転職面接で希望年収を聞かれたら? 失敗しない伝え方(例文付き)


転職活動の面接において、希望年収を聞かれるケースがあります。

その際に、
「希望年収を聞かれたらどう答えればいいの?」
「年収交渉をすると不利になるのか?」
「希望年収を高く伝えないと損するのでは?」
というお悩みを感じる方も多いのではないでしょうか。

本記事では、転職活動にて、希望年収を聞かれた場合の伝え方のポイントを解説します。



目次[非表示]

  1. 1.希望年収・年収交渉の考え方
    1. 1.1.希望年収の伝え方によっては悪印象に繋がる
    2. 1.2.年収交渉・給与交渉は面接で評価されていることが大前提
    3. 1.3.希望年収が叶うかどうかはケースバイケース
  2. 2.希望年収の伝え方のNG例
    1. 2.1.NG例① 希望年収を言わない/低すぎる年収を伝えてしまう
    2. 2.2.NG例② 給与水準を大幅に超えた希望年収を伝える
    3. 2.3.NG例③ 希望年収を伝えるタイミングが早すぎる
  3. 3.年収交渉・給与交渉の武器となるポイント
    1. 3.1.転職エージェントと企業との関係値の深さ
    2. 3.2.並行して複数の内定を獲得していること
    3. 3.3.「〇万円のオファーが出れば入社します」と入社意思を伝えること
  4. 4.【例文付き】希望年収の伝え方のコツ
    1. 4.1.現職の年収から下がっても問題がない場合
    2. 4.2.現職の年収を維持したい場合
    3. 4.3.現職の年収からアップさせたい場合




希望年収・年収交渉の考え方

まず、希望年収の伝え方に関する前提の考え方をお伝えします。


希望年収の伝え方によっては悪印象に繋がる

面接官が希望年収を聞く意図として、下記のような理由があります。

  • 自社の給与水準と、応募者の希望年収がマッチしているか
  • 応募者が客観的に自分のスキルや市場価値を理解しているか
  • 応募者の転職軸において、希望年収の優先度がどれくらい高いか

そのため、応募先企業の給与水準と希望年収の間に大幅に乖離があったり、
希望年収を根拠を持ってうまく説明できないと、選考で不利になる可能性があります。

希望年収を伝える際は、選考にマイナスの影響が出ないような工夫が重要です。


年収交渉・給与交渉は面接で評価されていることが大前提

年収アップを目的に転職活動をしている際、年収交渉が必要になる場合があります。

ただし前提として、年収交渉をする以前に「企業が自分を採用したいと思っている状態」であることが重要です。

給与はあくまでも「企業に貢献した対価」としてもらえるものです。
「自分は企業にどう貢献できるか?」が面接で伝わっていないと、年収交渉の土俵には立てません。

自分の希望年収を前面に押し出しすぎないよう注意しましょう。


希望年収が叶うかどうかはケースバイケース

そもそも、企業に希望年収を考慮してもらえるかどうかはケースバイケースです。

一般的に、以下のような場合には希望年収を考慮してもらえやすいです。

  • 企業の給与形態が能力主義で、実力と給与が連動していること
  • 企業の利益率が高く、人件費や採用予算に余裕があること
  • 応募者が同じ業界や職種の経験、スキルを持っており、即戦力として活躍できること


逆にいうと、以下の場合には年収交渉が難しくなる傾向にあります。

  • 年功序列で年齢や社歴で給与テーブルが細かく決まっている企業
  • 採用や人件費に多くの予算をかけられない企業
  • 業界未経験/職種未経験での転職であること


これらはあくまでも傾向にすぎないため、
各社の人事制度や採用計画などの事情により細かく変わってきます。

状況によっては希望年収が叶わない可能性があることは、あらかじめ念頭においておきましょう。




希望年収の伝え方のNG例

実際に面接の場で希望年収を応える際、特に注意したいポイントについて解説します。


NG例① 希望年収を言わない/低すぎる年収を伝えてしまう

希望年収を伝えるときに、
「希望年収を伝えたら欲深いと思われるのではないか」
「希望年収を低く伝えた方が面接に合格するのではないか」

と、面接官にどう思われるかを意識しすぎて、本音の希望よりも低い金額で答えてしまう人がいます。

しかし、現職の年収と希望年収に大幅な乖離があると、
面接官の印象としては、
「自己評価が低く自信が無いように見えるな」
「年収を下げてまで転職する理由は何か裏があるのかな」
「お金にルーズな人なのだろうか」

と捉えられてしまう可能性があります。

また一度希望年収を低く伝えてしまうと、後から訂正しにくくなります。


そのため、希望年収を聞かれた時には、

  • できるだけ本音は隠さず正直に答えること
  • 仮に年収を下げる場合も、理由を添えて伝えること

をオススメします。


NG例② 給与水準を大幅に超えた希望年収を伝える

企業は「採用に必要な予算」「想定の給与水準」を決めて採用活動をしています。

例えば、求人票の年収額が400~500万円と書いてある企業に対して、
「700万円を希望します」と伝えてしまうと、
「その金額での採用はできない」という理由で、ミスマッチと判断される可能性があります。

特に規模の大きな企業であるほど、
「この年齢、経験年数であれば〇万円~〇万円程度の年収」といった給与レンジが決まっています。

相場を大きく外れた年収交渉・給与交渉は悪印象に繋がりかねません。
応募先企業の給与水準や年収相場については、事前に下調べを行うようにしましょう。


NG例③ 希望年収を伝えるタイミングが早すぎる

年収交渉・給与交渉は、企業が応募者を高く評価していることが前提です。

評価の途中段階にもかかわらず、希望年収を伝えてしまうと、
「お金のことばかりを気にする人」といった印象に繋がる場合があります。

面接の場は、自分の経験やスキルがどう貢献できるかを伝えることに集中し、
基本的には、企業側から聞かれるタイミングまで待ちましょう。

しかし、年収に強いこだわりや希望があるにも関わらず、面接官から希望年収を聞いてもらえないこともあります。
その場合には、逆質問のタイミングで希望年収を伝えるも1つの手です。

逆質問で希望年収を伝える際は、最初からいきなり給与の質問をするのではなく、業務内容などの質問と交えて確認するよう注意しましょう。


年収交渉・給与交渉の武器となるポイント

年収交渉・給与交渉をする際に武器となるポイントをお伝えします。


転職エージェントと企業との関係値の深さ

希望年収の伝え方を考える上で、転職エージェントは心強い味方になります。

企業との関係値の深い転職エージェントは、以下のような情報を持っている場合があります。

  • 希望年収としてどれくらいの年収額を伝えるのが適切か
    (過去の決定実績や企業の給与水準)

  • 希望年収を伝えるタイミングはいつがベストか
    (企業が内定諸条件を決める段階はいつか)

  • 企業が応募者を評価しているポイントはどこか
    (交渉材料として有効なスキル・経験は何か)

エージェントを通さない直接応募の場合、これらの情報を集めるには限度があります。

是非、希望年収の伝え方やタイミングに迷った際には、
企業との関係性が強い転職エージェントに相談していきましょう。


並行して複数の内定を獲得していること

他社から既に内定が出いることは、年収交渉・給与交渉の大きな武器になります。

人事の立場に立つと、他社から内定が出ている応募者に対して
「他社より高い年収で内定を出せば、自社に入社してもらるかもしれない」
と感じます。

逆に選考中の企業が1社だけだった場合、人事からは、
「希望年収は450万円と言っているけど、他に選考が無ければ400万くらいでも入社してくれるんじゃないか?」
と思われてしまう可能性があります。

同じタイミングで内定を獲得し、希望年収として客観的な根拠を用意するためにも、
各企業の選考ペースを合わせながら、転職活動を進めるように心がけましょう。


「〇万円のオファーが出れば入社します」と入社意思を伝えること

企業の人事が、希望年収に応じようと思ってくれても、
人事の立場としては、応募者の入社意思が不明確なまま、社内調整を進めるはリスクが伴います。

「頑張って現場や上層部を説得したものの、結局、内定辞退となってしまった」
となると、せっかくの社内交渉が徒労に終わってしまうからです。

逆に言えば、応募者の方から
「〇〇万円以上のオファーを頂けるであれば、私は御社に入社します。」
と伝えられれば、
「この人は年収希望さえクリアすれば入社してくれるんだ。」と、人事は強気に社内決裁を進められます。

人事側の社内交渉材料を用意し、Win-Winな採用活動にするためにも、
志望度の高い企業の場合は、入社意欲とセットで伝えると非常に効果的でしょう。


【例文付き】希望年収の伝え方のコツ

ここまでの内容を踏まえて、希望年収の伝え方の例文をお伝えします。


現職の年収から下がっても問題がない場合

希望年収にこだわらない転職の場合は、
他に優先したい軸や年収が下がる要因を伝えることがポイントです。


  • 未経験職種への転職の場合

希望年収は400万円と考えています。
現職の年収は450万円ではありますが、今回未経験職種への転職となるため、最低限必要な金額として400万円いただけると幸いです。
入社後にいち早く実績を上げ、昇給できるよう尽力していきたいと考えています。


  • 給与よりも働き方を優先したい場合

希望年収は500万円と考えています。現職の年収は550万円ではありますが、残業代が月40時間分含まれている金額となります。
今回の転職では、給与よりも働き方を優先しているため、残業が減ることも考慮し、年収500万円を希望としています。


現職の年収を維持したい場合

現職年収を維持したい場合は、根拠を伝えなくとも理解いただけるケースが多いですが、
以下のような補足を入れるとより納得感を持たせられます。


  • 家庭の事情もあり年収を下げられない場合

現職の年収は500万円でした。今回の転職は同職種でこれまでの経験を活かせることと、現在、家族を扶養している身であるため、できれば現職と同程度以上を希望したいと考えています。


  • 強い希望は無い場合

現職の年収は400万円でした。年収については前職と同等かそれ以上の金額を希望していますが、最終的には御社の規程に従いたいと考えています。


現職の年収からアップさせたい場合

年収アップを希望する場合は、しっかりとした根拠づけが必要になります。
また、最低限必要な下限年収と、希望の年収とをセットで伝えるのもポイントです。


  • 直近で業績悪化の影響がある場合

希望年収は500万と考えています。現職での年収は450万円なのですが、会社の業績悪化のため、直近1、2年間は部署内全員賞与が半減している状況です。
3年前までは約500万円だったため、今回の転職活動では500万円を希望としています。


  • 年収アップを転職理由をしている場合

ミニマムの金額としては現職の500万円を維持したいと思いますが、一方で希望年収としては、550万円以上と考えています。
以前お伝えさせていただいている通り、給与水準を上げることが今回の転職理由の1つとしております。
また現職での営業部リーダーとしての経験や実績は、御社のセールス部門でも十分親和性の高いものと考えておりますので、前向きにご検討いただけると幸いです。


  • 他社の内定を獲得している場合

希望年収としては500万と考えています。実は現在、別の企業様より内定をいただいているのですが、そちらの企業様では500万円でオファーが出ている状況です。
今回の御社のポジションは私の希望に合っており大変魅力に感じているのですが、給与も重要な軸だと考えております。
もし500万円以上でのオファーをいただけるようでしたら、是非御社に入社したいと考えていますので、もし可能でしたら、前向きにご検討いただけると幸いです。


いかがでしたでしょうか。
企業側の理解を得られるよう、希望年収は誠実かつ丁寧に伝えることが重要です。

本記事が、あなたの転職活動や今後のキャリアに少しでも役立てましたら幸いです。




著者 K.Uruma
著者 K.Uruma
国立大学にてキャリア教育学を専攻。大手メーカーにて法人営業として従事。人材紹介会社に転職後、キャリアアドバイザーとして年間約200名の面談、転職支援を経験。複数回のMVP受賞を経て、チームリーダーとしてメンバー育成や数値管理を担当。副業でキャリア相談を受けるなど、キャリア支援者として幅広く活動中。 Twitter:@uruuru14

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