転職エージェントは使った方がいい?メリット・デメリットを徹底解説
私はこれまで、転職エージェントとしての転職支援であったり、
逆に転職を前提としないキャリア相談など、キャリアに関する支援を数多く対応してきました。
本記事では、転職エージェントの裏事情を理解したキャリアアドバイザーの視点で、
- そもそも転職エージェントとは何か
- 転職エージェントを使うデメリットとメリット
について解説していきます。
目次[非表示]
- 1.転職エージェントの役割、仕組み
- 1.1.転職エージェントのサービス内容
- 1.2.転職エージェントのビジネスモデル
- 2.転職エージェントを使うデメリット
- 2.1.デメリット① 転職エージェントによって、能力やモラルにバラつきがある
- 2.2.デメリット② 転職する方向に促される可能性がある
- 2.3.デメリット③ 質より量を重視で求人紹介される可能性がある
- 2.4.デメリット④ 自分のペースで転職活動を進めにくい
- 2.5.デメリット⑤ 応募できる求人に限りがある
- 3.転職エージェントを使うメリット
- 3.1.メリット① キャリアアドバイザーと一緒に転職活動を進められる
- 3.2.メリット② 非公開の求人を紹介してもらえる
- 3.3.メリット③ 企業や業界の内情を理解している
- 3.4.メリット④ 選考通過率向上のためのサポートがある
- 3.5.メリット⑤ 日程調整や交渉の代行をしてもらえる
- 3.6.メリット⑥ 自分では気づけない選択肢に出会える
- 3.7.メリット⑦ 無料で利用することができる
- 4.おわりに
転職エージェントの役割、仕組み
そもそも、転職エージェントとはどんなサービスなのか?を簡単に解説します。
転職エージェントのサービス内容
人材紹介会社(転職エージェント)は、転職を検討している人(求職者)と、人材を募集している企業との間に立ち、両者の仲介役を担います。
※正式名称は「有料職業紹介事業者」といいます。
求職者にとっての転職エージェントを一言でいうと、「転職活動の一連のプロセスを無料で支援してくれるサービス」です。
支援内容としては、例えば以下のようなものがあります。
- 希望条件や経験のヒアリング
- 希望や経験にマッチした求人の紹介
- 応募書類の作成や添削
- 面接日程の調整
- 面接対策、面接後のフィードバック回収
- 給与や入社日の条件交渉
これらのサービスを全て無料で提供しているため、
転職活動中の人にとって転職エージェントは非常に便利なサービスです。
転職エージェントのビジネスモデル
転職エージェントのメリット・デメリットを理解する上で、まずビジネスモデルを知っておく必要があります。
既にご存知の方も多いかもしれませんが、
転職エージェントのビジネスモデルは、求職者が転職することで、その対価として転職先企業から報酬を受け取る仕組みです。
企業からの売上で事業が成り立っているため、求職者は無料で転職エージェントを利用できるのです。
また、転職エージェントは製造業や小売業などと異なり、原価や設備投資が不要です。
そのため参入障壁が低いといった特徴もあります。
求職者にとっては、無料であることは嬉しい一方で、こうしたビジネスモデルの構造によるデメリットもいくつか存在します。
転職エージェントを利用するにあたって、デメリットや注意点を念頭においておきましょう。
転職エージェントを使うデメリット
転職エージェントを使うにあたって、どんなデメリットが考えられるでしょうか。
デメリット① 転職エージェントによって、能力やモラルにバラつきがある
ビジネスモデル上、転職エージェントの参入障壁は低いため、その数は年々増加しています。
2022年時点で約2万7千事業所に達しており、なんと国内のコンビニ店舗数の約半分に匹敵します。
※令和5年3月31日 『令和3年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報)』
こういった背景から、転職エージェントによって、キャリア支援に対する能力やモラルにバラつきが生まれています。
中には「儲かればそれでいい」という考えで単に人を横流しするような、
求職者の人生に向き合う思いが著しく欠けるエージェントも一定数存在します。
また、入社間もない新人がキャリアアドバイザーとして担当することもあり、求職者自身の強みを十分に引き出してもらえない可能性もあります。
どのエージェントを利用するか、担当キャリアアドバイザーのスキルを信頼できるかについては、慎重に見定めましょう。
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デメリット② 転職する方向に促される可能性がある
ビジネスモデルに関連して「転職が促される可能性がある」というデメリットもあります。
前述のとおり、転職エージェントの収益源は企業からの紹介料です。
紹介した候補者が、紹介先の企業に入社して初めて売上になります。
たとえ、プロ意識や能力の高い転職エージェントであっても、ボランティアでサポートしてくれるわけではありません。
売上が無いと事業が成立しないため、当然どの転職エージェントも売上目標を追っています。
※個人的には、このあたりの"ロマンとソロバン"のバランスを見極めながらご支援するのが、転職エージェントの難しさでもあり、醍醐味だと思っています。
そのため、求職者自身が「自分で自分のキャリアを決めていくんだ!」という姿勢が求められます。
でなければ、たとえ今転職する必要があまり無くても、自然と転職する方向に力学が働く可能性が高まります。
結局、自分の人生は自分で決めるべきです。
全てを転職エージェントに丸投げするのではなく、自分の意志や考えを持って、ビジネスパートナーとして対等に付き合うように心がけましょう。
💡SQiL Career Agentはあなたの現状をヒアリングした上で今後のキャリア形成について一緒に考えるので、無理に転職は勧めません。
デメリット③ 質より量を重視で求人紹介される可能性がある
転職エージェントの中には、
「とにかく多くの求人を紹介して、たくさん応募してもらう」といったサポート方針の会社が多く存在します。
特に大手のように、大量の求人・大量の求職者を抱える転職エージェントは、求職者1人1人のサポートにじっくり時間をかけることは困難です。
そのため、本人の希望とマッチしているか?をあまり考慮せず、
とりあえず数多く応募してもらい、内定が出た企業に入社を決めてもらうのが、エージェントにとっては効率的なのです。
※キャリアアドバイザーの目標指標として応募件数を置いているケースもあります。
たしかに、「まず何件か応募することで、自分の視野を広げる」という手段も有効ですが、結局入社するのは1社のみです。
「とりあえず30社は応募しましょう!」と、無意味に大量の応募を勧める転職エージェントとは、付き合い方を考えた方がよいかもしれません。
💡SQiL Career Agentでは面談を重ねる中で求職者ひとりひとりの価値観や叶えたいことに沿った求人を質高くご紹介します。
デメリット④ 自分のペースで転職活動を進めにくい
多くの転職エージェントでは、窓口として専任のキャリアアドバイザーが伴走してくれます。
転職エージェントによっては、対応する求職者の期間や数を絞るために、半年~1年などと、転職支援の期間を設定していることがあります。
こういった制度は、数年単位の中長期でキャリアを考えたい人にとっては、デメリットになります。
具体的に活動するかどうかわからない方は、
今すぐの転職でなくとも相談可能な転職エージェントや、転職エージェント以外のキャリアアドバイザーに相談するようにしましょう。
デメリット⑤ 応募できる求人に限りがある
転職エージェントでは、担当キャリアアドバイザーが、求職者の希望条件や経験に合った求人を厳選して紹介します。
逆に言うと、求職者の経験やスキルが基準に達していないと、「この人にこの求人は紹介できない」と判断される場合があります。
※企業側にとっては、こういったスクリーニングが転職エージェントを使うメリットになります。
また、都市部以外の地方の勤務地についても、転職エージェントの保有求人は少ない傾向にあります。
どうしても応募したい企業があるが、転職エージェントが求人を持っていない・紹介してもらえない場合は、
転職サイトや企業HPなど、他の手段を使って応募するようにしましょう。
転職エージェントを使うメリット
デメリットがある中でも、それ以上に多くのメリットが存在します。その中でも7点を解説します。
メリット① キャリアアドバイザーと一緒に転職活動を進められる
多くの人にとって、転職活動は孤独で、不安がつきものだと思います。
職場の同僚や上司には言わずに活動する方がほとんどですし、ましてや転職活動に慣れている人はほんの一握り。
以下のように、気分が落ち込んだり、迷ったり、冷静な判断が難しい場面も山ほどあります。
- 自分の強みやアピールポイントを整理できない
- 立て続けに選考見送りになってしまい、何が悪いのかわからない
- どの企業に入社すべきか判断ができない
そういった時に、転職エージェントのキャリアアドバイザーは、精神的・技術的な支えになる存在です。
キャリアアドバイザーとの相性さえ合致していれば、頼もしい味方として伴走してもらうことができるのです。
メリット② 非公開の求人を紹介してもらえる
転職エージェントが紹介する求人の中には、一般に公開されていない「非公開求人」があります。
企業が求人を非公開にする理由としては、
- 競合他社や自社社員に知られないよう採用活動をしたい
- 求人を一般公開することで応募が殺到するのを避けたい
- エージェント側で一定スクリーニングした人材に絞って選考したい
といった裏事情があります。
こうした企業の求人に出会う可能性が上がるため、応募する求人の幅を広げられるのも大きなメリットです。
メリット③ 企業や業界の内情を理解している
1人で転職活動をしていると、「どの企業がどんな社風なのか?」などの情報が不足しがちです。
口コミサイト等の情報もありますが、情報源に偏りが出ると危険が伴います。
転職エージェントは、これまで多くの企業の採用を支援しているため、
その分野のトレンドや、求職者の志向性やキャリアプランに合致するかどうかの情報を持っています。
特に、特定の業界や職種に特化したエージェントはその傾向がより強いです。
こういった「エージェントを通さないと得られない情報」を上手く使っていくことで、
いざ転職した後に「入社前とイメージが違った」と後悔する可能性を下げることができます。
メリット④ 選考通過率向上のためのサポートがある
転職エージェントのサポートの中には、職務経歴書などの応募書類の添削、面接練習があります。
企業の内情に精通している転職エージェントの場合は、
「この企業は△△の点を選考基準にしているので、〇〇のエピソードを重点的に話していった方がいい」
といった、企業に合わせた対策を行うことも可能です。
また選考後に、企業からの評価をエージェント経由でもらえることもあります。
面接での企業の評価点や懸念点、次回面接で見たいポイント、お見送りの背景などを知ることで、自分の面接の出来を客観視したり、次の選考に活かすことができるのです。
メリット⑤ 日程調整や交渉の代行をしてもらえる
転職活動をする際は、1社だけでなく複数を並行して応募することがほとんど。
複数社の日程調整はどうしても煩雑になりがちですが、転職エージェントが全て代行してくれます。
特に在職中で仕事が忙しい人にとってはありがたい存在です。
また選考中の企業に対して、
福利厚生などの情報を収集したり、入社日や給与を交渉したりなど、求職者が直接企業にしにくい対応を代わりに進めてくれます。
こうした、「求職者が手間になること・自分ではやりにくいこと」をやってくれるのも、転職エージェントを使う大きなメリットです。
メリット⑥ 自分では気づけない選択肢に出会える
どんな会社、どんな仕事に向いているのか?を自分で判断するのは意外と困難です。
そんな時に、様々な人生の転機を見てきた転職エージェントの意見はとても貴重です。
私自身も数多くの転職を支援していて、
元々志望していた業界や職種とは違うキャリアを選んだ結果、生き生きと活躍されている人をたくさん見てきました。
「自分は営業で成果を出してきたから、営業が一番向いているはず!」
「スピード感をもって成長したいので、ベンチャー企業に行きたい!」
これは本当にそうでしょうか?思い込みではないでしょうか?
自分では気づけない第三の選択肢に出会うために、転職エージェントの利用はおすすめです。
ただし、提案をそのまま鵜呑みにすることは要注意です。
あくまでも1つのアドバイスと捉え、視野を広げる目的で転職エージェントを活用するようにしましょう。
メリット⑦ 無料で利用することができる
何より、上記のサービスを一切無料で活用できるのが非常にありがたい点です。
※職業安定法にも、転職エージェントは求職者からしてはお金を取ることができない旨が明記されています。
一方で、転職エージェントとは異なり、求人紹介をしないスタイルをとる独立型のキャリアアドバイザーも存在します。
(私も個人でそういった活動をしています。)
独立型のキャリアアドバイザーは、企業から報酬を受け取らないため、相談料金が発生します。
その代わりに、企業との利害関係の無い第三者として、転職を無理に勧めることなくじっくり相談に乗ってもらうことが可能です。
そういった有料キャリア相談でフラットに悩みを整理した後に、具体的に転職に動くとなれば転職エージェントに登録する。
といった形で、キャリアアドバイザーのスタイルに合わせて目的を分けて考えていくのも大変おすすめです。
おわりに
転職エージェントは、デメリットを理解した上で利用すれば、非常に心強い存在です。
キャリアアドバイザーの中には、親身に話を聞きながら強みを引き出し、新しい提案をしてくれる方も多くいらっしゃいます。
転職エージェントを使ったことがないという方は、是非この機会に登録してみるのはいかがでしょうか。
本記事が、あなたの転職活動や今後のキャリアに少しでも役立てましたら幸いです。