カスタマーサクセス特化のキャリアパス完全ガイド|転職先別の志望動機例文と職務経歴書テンプレート付き
本記事は、カスタマーサクセスやSaaS業界からの転職を検討している方々を対象にしています。職務経歴書は、応募者の経験やスキルを効果的にアピールするための重要な書類です。 この記事では、職務経歴書の各セクションの作成方法とポイントを詳しく解説しています。カスタマーサクセスからよくあるキャリアパスや、各キャリアパスごとにアピールすべきポイントをご紹介しているため、職務経歴書作成の参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.カスタマーサクセス向け職務経歴書の作成ガイド
- 1.1.職務要約
- 1.2.職務経歴
- 1.2.1.【定量的な実績】
- 1.2.2.【マネジメント経験の記載】
- 1.2.3.【アピールポイント】
- 1.3.活かせる経験・資格・知識・技術
- 1.4.自己PR
- 2.カスタマーサクセスのよくあるキャリアパス
- 3.カスタマーサクセスの中でのマネジメント職
- 4.カスタマーマーケティング
- 5.プロダクトマネージャー
- 6.事業開発
カスタマーサクセス向け職務経歴書の作成ガイド
職務要約
【職務要約】は、採用担当者が最初に目にする重要なセクションです。ここでは、あなたがどのような業務を経験し、どのような実績を上げてきたのかを端的かつ明確に示しましょう。
- 定量的な実績を強調: 数字を用いて具体的な成果を示します。例えば、「担当企業のARRで約●●万円増加させることに成功」や、チームリーダーとして「プロダクト解約率を●%→●%へ低減させることに成功」といった具体的な数値を記載しましょう。
職務経歴
【職務経歴】セクションでは、これまでの職務内容や実績を詳細に記載します。マネジメント経験がある場合は、業務内容・成果を切り分けて記載するようにしましょう。
- 担当規模: 日々の行動量に加え、担当していた顧客数やARR(年間経常収益)など、業務の規模感がわかる指標を記載するとよいでしょう。
- 商材単価の記載: 扱っていた商材の価格帯を記載すると、採用担当者があなたの実績をより具体的にイメージしやすくなります(例:「SMB向け 約●●万〜●●万、エンタープライズ向け 約●●万円~●●万円」)。
- 担当領域の具体性: どのような業界や規模の企業(例:「従業員数1,000名未満のSMB企業」「1,000名前後のエンタープライズ企業」)の成功支援をしていたのかを記載することで、経験の幅と専門性を示すことができます。
【定量的な実績】
- 主要なKPIを明記する: カスタマーサクセスの主要なミッションである「顧客満足度」「アップセルによるARR増額」「解約率の低減」といった指標を具体的な数値で示すのが効果的です 。例えば、「顧客満足度93%を獲得(前年比10%改善)」のように、前年との比較も加えるとより良いでしょう。
【マネジメント経験の記載】
- 業務の切り離し: チームリーダーなどの経験がある場合は、自身の業務とは切り離して記載しましょう。「ユーザーコミュニティの企画・運営」や「テックタッチによる解約防止施策の企画、運用」といった施策と、それによるチームへの貢献を定量的に示すことが重要です。
【アピールポイント】
- 施策内容の記載: 実績に至った背景を、課題・施策・結果のセットで具体的に記述します。「顧客の利用データを分析し個別のフォローアップを実施した結果、顧客の利用率が20%向上し、ARPAが15%改善された」、「カスタマーサクセスツール導入やユーザーコミュニティ運営により、チーム全体の解約率が4%から1.5%まで低下した」など、課題解決能力をアピールしましょう。
活かせる経験・資格・知識・技術
このセクションでは、応募先企業で活かせる経験や資格、知識、技術を具体的に記載します。これにより、採用担当者にあなたの能力を効果的にアピールすることができます。
- 関連性のあるスキルを記載: 志望先企業が求めるスキルに関連する経験を優先しましょう。特に「THE MODEL型組織でのカスタマーサクセスの経験」や、「アップセル・クロスセル」の経験は、多くのSaaS企業で評価される重要なスキルです 。
自己PR
自己PRは、あなたの強みや仕事に対する姿勢をアピールする重要なセクションです。ここでは、具体的な業務の実績や経験を基に、自分自身を効果的に表現することが求められます。
- 仕事に対するこだわりや強み: 自分の仕事に対する姿勢や価値観を述べ、人柄を伝えます。例えば、「自身とチームの数字を上げることはもちろん、顧客にとってのメリットを常に考える『顧客志向のCS活動』を心掛けている」といった内容が考えられます。
- アピールできる経験: こだわりを証明する具体的なエピソードを交え、問題解決能力や他部署との連携力を示します。例えば、「顧客からのフィードバックを基に製品改善の提案を行い、開発チームと連携して新機能を追加した」といった経験は、顧客の声とビジネスの成長を結びつけられる人材であることを示すのに効果的です。
カスタマーサクセスのよくあるキャリアパス
顧客がサービスや製品を最大限に活用できるよう、契約後にさまざまな支援を行う役割を担うカスタマーサクセス。近年、サブスクリプション型のプロダクトが増加する中で、カスタマーサクセスの重要性はますます高まっています。カスタマーサクセスの目的は『LTV(顧客生涯価値)の最大化』を支援し、顧客ロイヤリティを向上させることでリテンション(既存顧客の維持)を実現すること。顧客が契約を継続できるようにサポートを提供することが求められます。
さらに、カスタマーサクセスのキャリアパスは多岐にわたっており、セールスの枠を超えてさまざまな職種を選択肢に含めることが可能です。今回は、以下の職種におけるアピールポイントについてご紹介します。
カスタマーサクセスの中でのマネジメント職
まず挙げられるのは、カスタマーサクセスでの経験を活かしてマネジメント職に上がる縦方向へのキャリア構築です。マネジメント職になると、カスタマーサクセスの業務だけではなく、教育やチームマネジメントなど、幅広い業務を担うことになります。さらに専門性を高めることで、部門の立ち上げ担当としてキャリアアップを図る道も開けるでしょう。マネジメント職を希望している場合は、現在の業務の中でも以下の部分をアピールすると再現性が高いと評価されるでしょう。
- 定量・定性面実績
- 具体的な定量:担当企業数、解約率の低下、顧客満足度(%)、アップセル・クロスセルの創出金額
- 具体的な定性:プロジェクトマネジメントをどのようにおこなっていたか、フィールドセールスやプロダクト開発部門との連携の仕方、顧客ヒアリングの手法など
- 目標達成に向けた業務改善プロセス
- チーム内でのリーダーシップ経験
- チームメンバーの指導、育成、業務マニュアルの作成、モチベーション管理
- データ分析能力
- 顧客の利用状況、市場や競合の分析、そこから戦略的な意思決定を行った経験
【例文】
カスタマーサクセスのチームリーダーとして、解約率を8%から3%に改善しました。 |
カスタマーマーケティング
カスタマーサクセスからのキャリアパスとして、カスタマーマーケティングも選択肢の一つとして挙げられます。カスタマーマーケティングは、既存の顧客に対して行うマーケティング手法で、顧客のロイヤリティを高めることが目的です。具体的な業務内容としては、既存顧客への特別なプロモーションや、顧客フィードバックの収集、コミュニケーション強化のためのニュースレターやメルマガの配信などが挙げられます。顧客の成功を支援するカスタマーサクセスと、顧客との関係を深め、継続利用やアップセル・クロスセルを促進するカスタマーマーケティングは相互に補完し合う関係にあります。
カスタマーマーケティング職を希望している場合は、以下の部分をアピールすると再現性が高いと評価されるでしょう。
- 目標達成に向けた業務改善プロセス
- カスタマーサクセスのプロセスを定量で捉え、KPIの量と歩留まりを観測。それらの数字をもとに日々の活動を改善したエピソード
- データ分析・顧客理解力
- 顧客の利用状況やフィードバックを分析した経験
- 顧客インタビューや定例MTGの場でニーズやペイン、課題を深く理解した経験
- 市場や競合の情報収集経験
- プロジェクト管理能力
- 複数の顧客や案件を同時に管理した経験
- 他部門と連携した経験
【例文】
これまでのCS活動では、顧客の導入時の目的やニーズを深く理解し、オンボーディングからその後のハイタッチの支援までを提供することで、顧客満足度を20%、アップセル率を30%向上する成果を上げました。 |
プロダクトマネージャー
次にご紹介するのは、プロダクトマネージャー(PdM)へのキャリアパスです。プロダクトマネージャーとは、プロダクトやサービスを開発から販売、改善に至るまでの全工程を統括する非常に重要な役割。市場調査や顧客データの分析を行い、プロダクトの戦略立案や仕様や設計の管理まで行います。顧客からのフィードバックを収集し、製品の改善提案を行うカスタマーサクセスとの親和性も高い職種です。
プロダクトマネージャーを希望している場合は、以下の部分をアピールすると再現性が高いと評価されるでしょう。
- 目標達成に向けた業務改善プロセス
- カスタマーサクセスのプロセスを定量で捉え、KPIの量と歩留まりを観測。それらの数字をもとに日々の活動を改善したエピソード
- データ分析・顧客理解力
- 顧客の利用状況やフィードバックを分析した経験
- 顧客インタビューや定例MTGの場で顧客のニーズやペイン、課題を深く理解した経験
- 市場や競合の情報収集経験
- プロジェクト管理能力
- 複数の顧客や案件を同時に管理した経験
- プロダクトの知識
- 商材やサービスに関する深い理解から、顧客に対して適切なソリューションを提供してきた経験
- (例)製品の導入や活用方法に関する知識
- 商材やサービスに関する深い理解から、顧客に対して適切なソリューションを提供してきた経験
【例文】
前職では、顧客の成功を支援するためにオンボーディングプロセスの改善に取り組みました。 |
事業開発
次にご紹介するのは、事業開発へのキャリアパスです。事業開発とは、新たなビジネス機会を創出し、企業の成長を促進するための戦略的な活動を行う職種です。具体的には、市場調査やパートナーシップの構築、新規事業の立ち上げなどを通じて、長期的な成長を目指します。カスタマーサクセスよりも、より広範な視点での戦略的思考や市場分析が求められ、短期的な成果よりも持続可能な成長に焦点を当てます。カスタマーサクセスが顧客ごとの具体的な提案活動に特化しているのに対し、事業開発は企業全体の成長戦略を考える役割を担っています。
事業開発を希望している場合は、以下の部分をアピールすると再現性が高いと評価されるでしょう。
- 目標達成に向けての業務改善プロセス
- カスタマーサクセスのプロセスを定量で捉え、KPIの数値と歩留まりを観測。それらの数字をもとに日々の活動を改善したエピソード
- データ分析・顧客理解力
- 顧客の利用状況やフィードバックを分析した経験
- 顧客インタビューや定例MTGの場で顧客のニーズやペイン、課題を深く理解した経験
- 市場や競合の情報収集経験
- プロジェクト管理能力
- 複数の顧客や案件を同時に管理した経験
- 既存顧客に対してアップセルやクロスセルとして新プラン・新サービスを提案し、顧客の反応や生の声を収集した経験。
【例文】
私はカスタマーサクセスの業務の中で、解約率を8%から3%に改善しました。当時、私たちのチームでは解約率が高く、顧客満足度の向上が急務でした。この課題に対処するため、まず既存顧客へのインタビュー調査を実施し、プロダクトを利用する上でのニーズや不満を把握。次に、オンボーディングプロセスの改善をチーム全体で行い、導入直後のもっとも温度感が高い時期にハイタッチで支援をすることで顧客がプロダクトをスムーズに利用できるようにしました。その結果、チーム全体の解約率を8%から3%に低減させることに成功しました。 また、短期的な成果だけでなく、組織として持続可能な成長を目指すことが重要であると考え、事業を成長させるための提案も行ってきました。具体的には、顧客のフィードバックを基にした製品改善や新サービスを他部門へ提案。また、競合分析を通じて新たな市場機会を発見し、アップセル率を10%増加させる施策を提案した実績もあります。 |
以上がカスタマーサクセスのキャリアパスとアピールポイントです。
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