- 転職経験者が徹底解説 - 金融機関からスタートアップに転職する際のポイント
はじめまして。
SQiL Career Agent の小美濃優と申します。
本記事では金融機関からスタートアップへの転職を考えている方に向けて、
- スタートアップへ転職する前に、認識しておくべきこと
- 金融機関の経験の中でも、スタートアップで特に活かせること
について実体験を踏まえて、解説していきます。
僕は新卒で大手都市銀行に入社し、約1年半、法人融資業務に従事していました。 その後、当時20名程度のSaaSスタートアップに1人目のインサイドセールスとして転職。 約4年勤め、インサイドセールスのマネージャーにも昇進することができました。 そして今現在は、SQiL Career Agent のマーケターを務めています。
この記事を読むことで、スタートアップでの働き方のイメージが湧き、転職後のギャップで後悔する方が1人でも減ったら嬉しいです。
目次[非表示]
- 1.スタートアップへ転職する前に、認識しておくべきこと
- 1.1.スピードこそが正義
- 1.2.不確実・不完全が当然
- 1.3.主体性が必須
- 2.金融機関の経験の中でも、スタートアップで特に活かせること
- 2.1.ビジネスマナーが備わっている
- 2.2.決算書が読める
- 2.3.大企業のカルチャーを知っている
スタートアップへ転職する前に、認識しておくべきこと
スピードこそが正義
僕がスタートアップに転職してまず驚かされたのは、物事が進むスピードの早さです。
具体的には社内の決裁や営業戦略などの意思決定〜実行までがとても早い。
もちろん一口にスタートアップと言っても、事業フェーズや従業員数などによりスピード感は異なりますし、やはり組織が大きくなると承認フローが長くなることもありえます。
しかしそれでも金融機関ではよくある、
「マネージャーが承認した稟議を副支店長が差し戻す。ようやく支店長まで承認がおりても本部の審査部からまた戻される。気づいたら承認まで3週間、1ヶ月が経過していた」
こういったことは、ほぼ起こりません。
そしてこのスピード感は、もちろん現場の営業パーソンにも求められます。
例えば、未経験の業務を任される場面。
銀行であれば端末の操作方法や、事務手続きのフローなどはミスのないように丁寧な指導や研修が行われます。
しかしスタートアップでは「これをやってね」という指示はあっても、研修やマニュアルなどはない場合が多く、具体的な方法は自分で調べた上で、即座の実行が求められます。
また、金融機関はそのビジネスモデルの性質上、ミスが許されません。
上司や先輩は「チャレンジを大事にしてね」とは言いますが、”正確さ”が何よりも重視されるため、実際の業務ではチャレンジやスピード感には意識があまり及びません。
ちなみに僕は手形の事務手続きをミスしてしまい、しばらく食事が喉を通らなくなり、体重が5キロ減った経験があります・・・。
一方、スタートアップでは行動しないことや遅いことが悪とされます。
「スピードを重視し、チャレンジした結果のミスは、むしろ賞賛する」
そういったカルチャーを大事にしている企業も多いです。
大企業に比べて資金力・規模・知名度などが劣るスタートアップにおいて、スピードは何よりも重要であると、転職する前に心得ておくと良いでしょう。
不確実・不完全が当然
新卒で金融機関に入社した方は、新人研修があることについて特に何も感じなかったのではないでしょうか。もしかすると「マナー研修が面倒くさかった」「札勘がうまくできなかった」などネガティブな記憶が残っているかもしれません。また、業務ルールやマニュアルなどがたくさんあり、覚えるのも一苦労でしたよね。
しかし「研修がある」「業務ルールが決まっている」「社内制度がある」
これらは決して当たり前のものではありません。というか、すごいことです。
スタートアップに入ると、そう感じさせられます。
この点も組織フェーズによりますが、スタートアップでは業務フローやルール、社内制度が整備されていないことが多々あります。
特に営業であれば「こうやれば売れる」「このスクリプトは刺さる」という自社の勝ちパターンが確立されておらず、自身でトライ&エラーを繰り返しながら勝ち筋を見つけることが求められます。
そのため「正しいやり方を覚えてからでないと動けない」「ルールがないと不安」という方には厳しい環境と言えるでしょう。
金融機関に勤めているとルールがあることに慣れてしまうので、この点のギャップは特に大きいように思います。
逆に「自分で勝ち筋を見つけたい」「自分がルールを整備して業務改善をしたい」という気概の方には良い環境です。
僕も、このルールのない世界での働き方に慣れるのに1年近く掛かったのをよく覚えています。
主体性が必須
よく「裁量権が欲しいからスタートアップに転職したい」と語る方がいます。
たしかに金融機関に比べ、スタートアップは自分で決め、自分で実行するという場面が多くあります。
しかし、そのためには主体性が必須です。
上記したようにスタートアップにはマニュアルがなかったり、そもそも取り組む業務に前例がないということがよくあります。場合によっては、成果を出すためには「何の業務に取り組むべきか」から自ら考える必要も出てきます。
また業務だけでなく、日頃の自己研鑽も重要です。
金融機関に勤める方々も、銀検、FP、証券外務員などの資格試験の勉強は日々行っていると思いますが、スタートアップで求められる自己研鑽は、性質が異なります。
スタートアップでは「いつまでにこの試験に合格すべき」という一律に定められた期限や目標などはなく、業務に必要なことを自ら考え、学習方法も自分で決めることになります。
また、自己研鑽を強制されることはありません。
ただし成果が出なければ一向に給料や役職は上がりません。
スタートアップへ転職する方には、主体性とセルフマネジメント力が強く求められるのです。
金融機関の経験の中でも、スタートアップで特に活かせること
ここまでシビアなことを書いてきましたが、金融機関での経験が、スタートアップで活きることもあります。
「金融機関の業務は特殊だから、つぶしがきかない」なんて言われることがありますが、全く役に立たないということはありません。
ビジネスマナーが備わっている
金融機関に勤めていると当たり前過ぎて気づきませんが、金融機関勤めの方のビジネスマナーレベルは高いです。仕事上、役員や社長クラスの方と接する場面が多いこともあり、若くしてビジネスマナーを身に着けられる環境と言えます。
スタートアップではマナー研修などは基本的に行われませんし、成果やスピードは求めるが、ビジネスマナーについては言及しないという企業もよくあります。
たしかに、言葉遣いや名刺交換の作法が間違っていても売上はつくれます。
しかしながら、実は「あの会社は、製品は良いがマナーがなっていない」と噂が立ち、見えない損失につながっているケースもあると個人的に考えます。
中長期的には会社のブランドにも影響する可能性がありますし、そのため上場直前になって急にかっちりしてくるスタートアップもあります。
上記の理由で、入社した時点から高いレベルのビジネスマナーを身に着けているというのは有利に働くでしょう。
決算書が読める
金融機関で営業に従事しているとBS/PLを読む機会が多いですが、一般企業の営業パーソンは、自分で勉強でもしない限りはあまり触れることがありません。
決算書の各項目の意味くらいは勉強すればすぐ理解できますが、その数字が良いのか悪いのか、どの項目を重視するべきかという感覚を養うにはある程度の経験が必要になります。
転職先のスタートアップが取り扱っている商材にもよりますが、例えば、上場企業に提案をする際にはBS/PLから経営課題の仮説を立てるという機会があり、この点は金融機関で勤めてきたことが特に活かせるポイントです。
大企業のカルチャーを知っている
スタートアップの中には、大企業との取引を獲得し売上を伸ばすことを狙っている企業が多くあります。
大企業との契約は1社で大きな売上になるだけでなく「知名度のある会社が導入している」という実績により、サービスの信頼性が高まります。
その結果、次のお客様を獲得することにも貢献します。このようにリターンが大きいですがその分、受注の難易度も高いです。
あなたが今所属している金融機関で新しいシステムを導入しようとしたら、色んな部署や関係者を通さないといけないのは容易に想像がつくでしょう。
金額面だけでなくセキュリティ面や、導入後の活用促進、業務フローの変更などやるべきことは膨大です。当然、検討開始から導入決定まで長い時間も掛かります。
加えて「この話は先に○○さんに根回ししておいた方が良い」といった社内政治の考慮も必要です。「決裁を取る会議の前に、ほぼ決着がついている」なんて話もよくあります。
このようなリアルな大企業の内情を体感してあると、いざスタートアップに入り、大企業に営業をすることになった際に、非常に役立つでしょう。
また、スタートアップにしか務めたことがない方々が「大企業の社内のイメージが湧かない」と語っていることもお聞きしたことがあります。ちなみにスタートアップでは、大企業の営業担当のことをエンタープライズセールスと呼んだりします。
▼エンタープライズセールスについてはこちらの記事もご覧ください。
エンタープライズセールスとは?特徴や必要なスキル、どんな人が向いているのかを解説!
以上のように金融機関勤めだからこそ活かせることもあるのです。
ただし金融機関とスタートアップは、業務以外にも社内カルチャーや考え方が大きく異なります。そのため年齢が上がるにつれ、転職難易度が上がる点にはご注意ください。
もし現在転職を迷われているようでしたら、ぜひお早めにSQiL Career Agentにご相談ください!
「転職をするべきかどうか」、「どんな軸で企業を選ぶべきか」の部分から一緒に考えましょう。