パートナーセールスのメリット・デメリット、具体的な事例
みなさん、こんにちは。
SQiLにて女性営業のキャリアやワーキングマザーの実態について記事執筆している佐々木です。
今回はパートナーセールスの仕事についてお話しします。
目次[非表示]
- 1.パートナーセールスとは
- 2.パートナーセールスのメリット
- 3.パートナーセールスのデメリット
- 4.パートナービジネスの代表的な事例
- 4.1.セーフィー様
- 4.1.1.パートナー戦略
- 4.1.2.パートナー戦略実行の前に
- 4.1.3.パートナー戦略の実行
- 4.2.ベーシック様
- 4.2.1.新規提携先の発掘
- 4.2.2.自社と相性の良いパートナー企業条件の言語化
- 4.2.3.顧客紹介の促進
- 4.3.カオナビ様
- 4.3.1.パートナービジネススタート時
- 4.3.2.社内の営業体制
- 5.最後に
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パートナーセールスとは
パートナーセールスとは「代理店営業」を指します。
皆さんがイメージする営業の多くは営業対象が「エンドユーザー」ですが、パートナーセールスの顧客は「パートナー企業(代理店)」です。
前者を「直販営業」と呼びますが、直販営業との大きな違いは「自社サービスをパートナー企業経由で売ってもらうための営業活動」をしているという点です。
パートナーセールスについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
※参考:パートナーセールスとは?パートナーセールス「基本の基」
パートナーセールスのメリット
パートナーセールスをやる一番のメリットは販路拡大といえるでしょう。
直販ではアプローチできなかった業界や顧客に対し、パートナーを介して”効率的に”アプローチをすることができます。
具体的には二つのメリットがあります。
一つ目は、接点・リソース不足が原因でアプローチできていない顧客に対して、すでにコネクションを持っているパートナー企業がアプローチすることにより、成約までのリードタイムの短縮化や成約率の向上を図ることができます。
二つ目は、営業活動の拡大です。パートナービジネスのスキームでは、「自社の営業活動の一部をパートナー企業が担う」という形をとるので、自社の営業組織を拡大せずに営業活動を促進できます。
「パートナービジネスはすぐに成果が出る。直販より成果が出やすい」と認識されることがよくあります。ただ実際はそんなことはありません。むしろ逆です。
パートナービジネスは短期的な成果ではなく、中長期的に成果を創出していくための施策と考えてください。そのため経営層も現場も忍耐強くパートナー企業と向き合い、成果を創出していく活動と心構えが必要です。
経営層が「パートナービジネスはすぐ成果がでるもの」と考え早期に結果を期待すると、現場は非常に疲弊するので気をつけてください。
パートナーセールスのデメリット
パートナーセールスにおけるデメリットは、パートナー企業の管理やコミュニケーション工数の増加です。
具体的には、パートナー企業との契約や紹介料の支払いなどがあげられます。
より多くの顧客紹介をしていただくためには、パートナー企業の窓口部門・営業パーソンへのコミュニケーションが必要です。これらは、パートナー企業の増加とともに負担が増えるため、日々社内外のルールやオペレーションの適正化が必要となります。
パートナービジネスの代表的な事例
ここでパートナービジネスの代表的な事例をいくつかあげてみましょう。
セーフィー様
国内SaaSのパートナービジネスといえば、一番最初に名前をあげたくなるのがセーフィー様です。
事業成長は顕著で、もうすぐARR90億、売上100億に迫る勢い。
パートナー企業様と二人三脚で事業を成長させ続けています。
パートナー戦略
<引用>
- パートナーとの契約は、企業同士の重要なパートナーシップとなるため、経営メンバーが直接パートナー戦略に関与しコミットすることが重要
- パートナーに対して事業戦略や成長可能性を説明することは、投資家に説明するのと同じくらい重要
- ・経営戦略との整合性を保ちながら、パートナーと共に事業戦略を策定する
- ・パートナーを徹底的に理解・分析し、パートナーに眠る資産を自社の事業と関連させることで価値を高める
パートナービジネスで大きな成果を創出するためには、短期的なWinではなく、中長期的に自社・パートナー・そして顧客が三方良しの関係性をつくりあげることが不可欠です。
パートナー戦略実行の前に
<引用>
- パートナーセールスで実績が出るには時間がかかります。概ね1.5年〜3年で実績が出始め、3年目以降に大きくスケールするのが理想。ただ、事業戦略のないパートナーセールスだと中長期的に伸び悩む
- パートナーセールスを立ち上げる前に直販営業が重要
- パートナーセールスを立ち上げた後も直販営業と随時連携
パートナービジネスの立ち上げ〜アクティブ化は年単位での成果創出が基本となります。
スポットでの成果を目指すのではなく、より中長期的に創出したい成果・その先の顧客に対して提供したい価値はなにか、といった視点とそれに沿った活動が必要となります。
パートナービジネスが事業開発の仕事に近いといわれるのはこういった視点からでしょう。
さらに、パートナービジネスを始めるにあたっての条件と適切に成長を遂げるための条件として、直販営業も重視することと記載があります。
- どんな顧客がどういった価値を感じてサービス導入してくれたのか?
- 逆に導入しないと意思決定した際のハードルは何か?
- 導入時に留意するべきポイント、つまづくポイントは何か?
パートナー企業に対して正しく価値やリスクを伝えるため、これらをしっかりと把握することが重要です。
パートナー戦略の実行
<引用>
- エンタープライズ企業リストを作り、パートナーとともに全てアプローチ
- 営業活動と並行してサービスのプレゼンスが上がってきたタイミングで新たなパートナーの開拓も同時に実施
- 顧客とパートナーに重点を置きサービス価格を決定
引用元:セーフィー 7年2ヶ月の軌跡。ARR約90億/売上100億円に迫る -パートナーセールスの戦略と実行-|muck0213
新規パートナー先の開拓を進めるというのは成功メソッドですが、とても興味深いと感じたのが「顧客とパートナーに重点をおきサービス価格を決定」という点です。
サービス価格を決定する際は顧客からの意見を重視する企業が多いですが、パートナー企業と連携しビジネスを成長させ続けているセーフィーさんならではの視点だと感じました。
ベーシック様
10ヶ月で約100社のパートナー企業と提携し、1年間でパートナー企業からの案件紹介を3倍にしたりと、とにかくパートナービジネスで素晴らしい成果が出ているのがベーシック様です。
新規提携先の発掘
<引用>
- 自社/競合分析を徹底的に実施
- バリューチェーンの把握(「ferret Oneはどの業種に適しており、そして提案される機会が創出されるのか」を把握すべく、マーケティングにおける「バリューチェーン」の中において、ferret Oneの立ち位置と補完関係となる可能性が高い業種を見つけていきました。)
- バリューチェーンで相性の合う業種を洗い出した上で、そこに属するパートナーさまが持っていると想定される課題と、ferret Oneがそれをどう解決できるのかを整理
引用元:SaaSのパートナー開拓に困ったらみて欲しい話〜パートナーセールスを立ち上げたら10ヶ月で100社と契約できた方法
新規パートナー企業を探す際にどういった調査をし仮説を立てて活動にうつしていますか?
自社/競合分析やバリューチェーンの把握、パートナー企業業種ごとの課題や課題に対して自社サービスが解決できることなどを整理すると、「自社と組む意義」を説明できます。
こういったメッセージは些細なことと捉えがちですが、一番重要です。
大切な顧客を紹介する・一緒にビジネスをするといった信頼関係を構築するためにも、ともにビジネスに取り組むべき理由を語れた方がより良い結果を創出できると考えています。
自社と相性の良いパートナー企業条件の言語化
<引用>
- 「自社サービスを紹介する機会が多いパートナー」を見つけることが肝
- パートナー企業をスコアリングする
引用元:パートナーサクセスで案件紹介を1年で3倍にしたferret Oneの取り組み
パートナー企業からの顧客紹介を活性化させるために、成果を創出している企業の言語化が必要です。
パートナー企業を一定の軸でスコアリングし、仮説を立てたうえで一定期間活動し成果をみるということをおすすめします。
顧客紹介の促進
<引用>
- パートナー向けサイト・ポータルサイトの提供
- 勉強会の実施
- エンドクライアント向けのウェビナー
- ナーチャリングメール
引用元:SaaSのパートナー開拓に困ったらみて欲しい話〜パートナーセールスを立ち上げたら10ヶ月で100社と契約できた方法〜
パートナー企業に顧客紹介を促進してもらうための第一ステップとしては、パートナー企業の営業パーソンに自社サービスを想起してもらうことが重要です。
そのためには、直接営業パーソンに接触できる勉強会やナーチャリングメールなどが非常に有効です。
また、パートナー向けのサイトやポータルサイトがあると、いつでも取得したい情報にアクセスできるので非常に便利です。なぜなら、まだ紹介できるかわからない状態でパートナー先に問い合わせるのは意外と心理的ハードルが高いというお声も聞くからです。
カオナビ様
提携済パートナー企業は300社以上と非常に大きなパートナービジネスの基盤をお持ちのカオナビさんです。
パートナービジネスの立ち上げ〜現在まで着実にパートナービジネスを拡大している企業さんです。
パートナービジネススタート時
<引用>
- パートナービジネススタート時に自社がどんなパートナー企業と合うか確かめるために300社と商談した
引用元:直販チームとの分業で、パートナー開拓と育成に注力。新時代のSaaS×パートナーセールスに挑むカオナビ
カオナビさんがパートナービジネスをスタートした時期に「新規パートナー企業300社と商談した」といったエピソードは有名ですが、「自社にどのパートナー企業がフィットするのか」はパートナービジネスを中長期的に成長させるうえで重要な要素です。
なぜなら、パートナービジネス拡大に向けて選択と集中に特化した活動が重要だからです。
短期ですぐ成果創出が難しく、自社・パートナー企業ともに負荷がかかるのがパートナービジネスなので、ともに活動するからにはWin-Winの構造を作るべきですよね。
よって、どのようなパートナー企業と活動すべきか?といった条件はパートナービジネス立ち上げ段階においても、ある程度言語化しておく必要があります。
社内の営業体制
<引用>
- パートナーセールスと直販で担当する業務の区分けをした
引用元:売上190%増!パートナービジネスにおけるデータを可視化・分析して、適切な情報提供を行うポータル活用
サービスの特性によって異なるとは思いますが、パートナービジネス立ち上げ期に社内の営業体制を整備しておくことが非常に重要です。
例えばパートナー企業の開拓・提携・アクティブ化までの活動をパートナーセールス部門が担当とし、実際のパートナー企業から紹介いただいた顧客の商談、契約などは直販営業部門が担当する、などです。
体制を整備することで、社内で業務の重複、混乱が発生するリスクを避けることに加え、それぞれのメンバーが自身の担うべき業務に集中して成果を創出する状態をつくりあげることができます。
最後に
今回はパートナービジネスのメリットやデメリット、パートナービジネスで成果が出ている企業様の事例についてお話しさせていただきました。
直販営業に比べ市場にノウハウの少ないパートナーセールスですが、パートナー企業と二人三脚でお客様へ価値を届けることができる、とてもやりがいのある仕事です。
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