パートナーセールスで成果を出すために必要な年間計画と実施すべきアクション

パートナーセールスで成果を出すために必要な年間計画と実施すべきアクション

4月は多くの大手企業が年度始めとなるため、パートナーセールスにとってはいわば繁忙期です。パートナー企業が新年度を迎え、役員や主要なリーダーが交代することで会社の方針が変わり、「新たな取り組みを始めよう!」という動きが生まれやすくなります。
そういった背景から、連携強化の施策を提案しやすいタイミングといえます。
そこで今回は、パートナービジネスの年間計画とパートナービジネスを拡大させるために今の時期に必要となるアクションについてお話しします。


佐々木千穂さんプロフィール


目次[非表示]

  1. 1.パートナービジネスは季節毎のイベントがある...?パートナービジネスの年間カレンダーとは
  2. 2.この時期にパートナー企業に対して実施すべき施策とは?
    1. 2.1.前年度の振り返り
    2. 2.2.年度始めのご挨拶
    3. 2.3.新年度の目標設定と合意
    4. 2.4.勉強会の実施
  3. 3.自社内で実施すべきアクション
    1. 3.1.①戦略明確化とリソース最適化
    2. 3.2.②コミュニケーションと関係性強化
    3. 3.3.③成果測定とリスク管理
  4. 4.最後に


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▼パートナーセールスについては以下の記事もご覧ください。


パートナービジネスは季節毎のイベントがある...?パートナービジネスの年間カレンダーとは

握手するビジネスパーソン

パートナービジネスのコンサルティングをしている際、お客様へ「パートナービジネスは季節毎にイベントがある」とお伝えすると、首をかしげる方が多いです。
パートナービジネスは、お客様の社内イベントに合わせて、年間を通じて詳細な活動計画を立て、それを実行していく必要があります。

具体的にお伝えすると、一般的に大手企業といわれている資本金1億円以上の会社で、3月を年度末としている企業は全体の52.2%です。次に多いのが12月で、割合は17.5%です。
よって、大手企業の約半数以上が3月決算、4月が新年度となっていることがわかります。

参考:決算期とは?会社の決算時期は3・9・12月が多い?決め方から変更方法まで解説!


3月末が決算時期の場合、翌月の4月は新年度となり組織変更や人事異動が発生し、組織と人が大きく動きます。そして、新年度になると会社・部署・個人の目標が新たに設定されます。 このような背景から、新年度には「新しい取り組みを始めよう!」という動きが生じやすくなります。

よって、4月はパートナービジネスを進める絶好の季節なのです。

社内イベントに合わせて、パートナーへのアプローチを設計、実行していくと、よりスムーズにパートナー企業と共通目標の設定ができたり、パートナー企業の活動を促進しやすくなるメリットがあります。

パートナー企業を4月に新年度を迎える大手企業と仮定して、年間カレンダーとパートナーセールスが取り組むべき施策の一例を以下に示します。 



パートナー企業のイベント

パートナーセールスが

打つべき施策

4月

新年度スタート

・新年度のご挨拶(トップ商談)
・共通目標の設定
・勉強会実施

6月

役員人事発表

・(必要であれば)新役員への挨拶

7月〜9月

夏期休暇

・営業担当者の夏期休暇スケジュールを把握

(依頼中の案件が停滞する可能性を考慮し、それを踏まえて社内の進捗表を更新する必要があります)

9月

上期締め

・上期成果の報告、振り返り

10月

下期始め

・上期の御礼と下期活動の合意(トップ商談)
・下期の方向性のすり合わせ

12月

3Q締め

・12月までの成果報告と3月末(年度末)までの成果の見立ての報告、振り返り

1月

新年

・新年ご挨拶(トップ商談)

3月

年度締め

・年度末までの成果の報告
・今年度の活動の振り返りと来年度の活動方針すり合わせ


上記カレンダーはあくまで一例です。
基本的にパートナー企業が大手企業の場合は上記スケジュールになると考えますが、個社別にイベントは発生するので、パートナーセールスは日頃の活動の中でパートナー企業の担当者に

  • どういった社内イベントがあるのか
  • その際に必要となるアクションは何か

をヒアリングしましょう。特にパートナー企業の方が社内報告や取りまとめが必要となる場合は、どのような内容がいつまでにどういった形式で必要なのか?
というレベル感まで把握しておくべきです。
そういった一つひとつの行動がパートナー企業との連携を促進し、より成果を創出しやすい状態をつくります。


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この時期にパートナー企業に対して実施すべき施策とは?

年度始めとなるこの時期に実施すべき施策としては以下の4つがあります。

  • 前年度の振り返り
  • 年度初めのご挨拶
  • 新年度の目標設定と合意
  • 勉強会の実施


前年度の振り返り

まずは前年度の振り返りです。年度末である3月末に実施するケースが多いです。
基本的にはパートナー企業の窓口担当者様と成果の振り返りを実施します。なぜ窓口担当者様とだけ個別に実施するかというと、本音が引き出しやすいからです。
そして、次のアクションとして控えている「年度始めのご挨拶」は自社、パートナー企業のトップ層が形式的な商談をする機会の準備という意味合いもあります。当日の話題を準備する意味でも担当者との本音の振り返りの機会を持つことで、今年度の成果や今後の方向性を固めることができます。その内容をまとめ、お互いの上司に年始のご挨拶の際のシナリオを伝えておくと良いでしょう。
ここはエンタープライズ営業のような動き方にはなるのですが、大手企業同士のビジネスにおける成果創出は、関係する部署・人数が非常に多いという背景から、自身が映画監督兼脚本家であるかよう登場人物を動かすこと重要です。
このパートナー企業の窓口担当者様との事前振り返りは年度初めのご挨拶の脚本を書くための根回し(着地点を探す)ための活動だと思ってください。

参考:下期スタート目前! パートナービジネス拡大に向けて“今”行うべき「先回りの成果報告」とは


年度始めのご挨拶

次に年度初めのご挨拶です。パートナー企業の窓口の方のみではなく、その上司の方も必ず参加いただきましょう。役員以上の参加であれば、なお良いです。
背景として、パートナービジネスの成果創出にあたっては、どれだけパートナー企業の組織が動くか?動かせるか?が重要となります。
大手企業は特に組織力学が働きやすく、トップの意向が組織としての動きに反映されます。
よって、こういったタイミングでより高い職位の方と今後の方向性についての合意を取り付ける必要があります。
この場ではパートナー企業担当者様の方と実施した振り返りで出たファクトを準備し、上司に話をしていただくと良いでしょう。
パートナー企業の役員の方が「この会社とパートナービジネスをするメリットがある!」と思っていただけるような時間になるよう、あなたがシナリオを準備し登場人物に演じてもらってください。


新年度の目標設定と合意

年度初めのご挨拶の際に実施していただきたいことが、パートナー企業との目標の合意です。
自社とパートナー企業のトップ同士が共通目標を合意しあうことが重要です。
そして、その挨拶の後は現場担当者とその上司で具体的な目標や今後のアクションの詳細を話し合いましょう。
例えば「今年9月までにX件の成約を創出しましょう」や、「今年度はXX支店に展開しましょう」という具体的な目標です。
トップ同士の合意だけでは、実行レベルで現場に落ちないため、絵に描いた餅になってしまうケースが多く発生します。よって、すぐに担当者に「具体的にいつまでに何をやるのか?」という目標を握りにいくべきです。
さらにこの時点で、目標達成に向けてのプロセスの合意までできていると理想的でしょう。

ただ、「パートナー企業に目標設定をしようと打診したけど、断られてしまった」というお悩みをよく聞きます。
単にパートナー企業へ「XX社を紹介してください」「自社のサービスを提案してください」と伝えても、相手の動く理由がなければ拒否されてしまいます。
もしあなたが、自身の目標達成に向けて特にキーポイントではない商材を「XX社契約してきてください」といきなり言われても、「なぜ?」と思いますよね。
だからこそパートナー企業を理解し、パートナー企業の方が納得する理由を準備したうえで、パートナー企業へ目標設定の打診と合意をしなければいけません


勉強会の実施

パートナー企業と目標の合意ができたら、次に実施するのはパートナー企業に向けての自社のサービス勉強会です。4月は部署異動などによって組織に新たな人が参画する場合が多いので、このタイミングでサービス勉強会を実施しましょう。
実施時期としては、大手企業は4月は組織内の目標が未確定であったり、キックオフなどの社内イベントが多発している可能性があるので、5月のGW明けがおすすめです。GW前に実施しても良いのですが、GWを挟むことでサービス内容や依頼事項が忘れ去られてしまうこともあるので・・・。
実施時期についてもパートナー企業の状況をお伺いしたうえで、より効果的な時期に実施すると良いでしょう。

参考:


自社内で実施すべきアクション

議論するビジネスパーソン

前章まではパートナー企業に対してこの時期に実施すべきアクションについてお話ししました。
一方でこの時期に自社内で実施すべきアクションは何でしょう。
私がおすすめすることは、アカウントプランの作成です。
「エンタープライズ営業ではアカウントプランの作成が必須と聞いたことがあるが、パートナーセールスにおいてもアカウントプランの作成は必要なのだろうか?」と疑問を抱く方も多いでしょう。

結論からいうと、私は必要だと考えています。
直接販売に比べてリードタイムが長く、変数も多いため、再現性を高めるためにPDS(Plan→Do→See)サイクルを適切に実行することが重要です。
パートナーセールスがアカウントプランを作成する意義としては以下の3つです。


①戦略明確化とリソース最適化

パートナー企業との目標や戦略を明確にすることで、自社および自身のリソースを最適化できる 


②コミュニケーションと関係性強化

アカウントプランの内容を社内外に共有することでコミュニケーションの円滑化、関係性の強化を促すことができる


③成果測定とリスク管理

①で設定した目標に対してのリスクの洗い出しと対処が可能になるとともに、後日活動をしていくうえでの成果の測定が可能となる

パートナー企業の新年度が始まるこの時期にアカウントプランを作成することで、適切なパートナーセールス活動を行うことが可能となるでしょう。

参考:パートナービジネスでも「アカウントプラン」は必須! 事前に ハードルを洗い出し、最短距離で目標達成へ


最後に

今回は、パートナービジネスの年間イベントと、4月の新年度開始に伴いパートナービジネスを活性化させるために必要なタスクについてご説明しました。

今回は4月が新年度となる大手企業を例に取り上げましたが、パートナー企業の社内イベントを把握し、それに応じて行動を取ることが、パートナーセールスで成果を出しやすくするための重要な戦略です。
そのためにはまず、パートナー企業について深く理解することが必要です。その点から取り組みを始めてみてはいかがでしょうか。
パートナービジネスは、自分以外の人々の行動によって成果が生まれる複雑な職種です。そのため、さまざまな組織や人々の動向を観察し、どのようにして動かせるかを考え、行動に移すことが極めて重要です。

SQiL Career Agentは、1,200社以上の豊富な営業支援実績から、営業スキルに関するデータや知見を持っています。企業の営業組織や採用要件の理解度も高く、高い選考通過率を実現しています。
パートナーセールスへ転職したいとお考えの方、パートナーセールスに興味をお持ちの方は、こちらからSQiL Career Agentにご相談ください。



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著者 ナレッジワーク/佐々木 千穂
著者 ナレッジワーク/佐々木 千穂
インフラエンジニアとしてキャリアをスタートし営業職へ転身。その後、SI系の大手企業、外資系大手企業にてエンタープライズ営業を経験。2016年に都内ベンチャー企業に入社。新規事業立ち上げやパートナービジネス立ち上げ、アクティブ化に従事し、売上数億円を創出。 2020年に出産・育休を経て、2021年に仕事復帰し本職に加え、複数社で営業コンサルティング、営業代行業務に従事。その後パートナーサクセス株式会社にて大手企業のパートナービジネスのコンサルティング業務に従事しつつ、副業としてメディア執筆や営業支援業務を行う。 現在は、ナレッジワークにてエンタープライズセールスとして従事。 Twitter:@chiho_relations

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