キャリアアドバイザーが徹底解説 未経験から営業職に転職する際のポイント
昨今、IT活用や分業化などの営業スタイルの見直しが進んできており、
「未経験から営業職へ転職するにはどうしたらいいでしょうか?」
という相談が増えてきています。
未経験から営業職へ転職するには注意点やコツがあります。
本記事では、未経験から営業職へ転職を検討している方に向けて、
- 営業職にチャレンジする魅力
- 注意点するべきポイント
- 営業職へのジョブチェンジを叶える方法
をお伝えしていきます。
目次[非表示]
未経験から営業職をオススメする3つの理由
汎用性の高いビジネススキルが身につく
未経験から営業職にチャレンジする大きな魅力は「汎用的なビジネススキル」を身につけられること。
特に、営業職で身につく「他人に納得して動いてもらう」というスキルは、ビジネスパーソンとしてのその後の人生を楽にしてくれます。
ビジネスは他人との関わりの中で行われるものなので、人に動いてもらうこととは切っても切れません。
営業経験を積むことで、仮に別の職種に就いたとしても、
以下のような場面で、自分の意見を通し、人に動いてもらうことができるようになります。
- 異動や昇進のために、上司に自分の実績をどうアピールしていくか?
- 他部署の人に、どう協力を仰いでいったらよいか?
- チームメンバーにどうやる気になってもらうか?
※ビジネスの場に限らず、私生活でも役に立つ場面はたくさんあります。
また、営業という仕事を通して、人を動かす力以外にも、
- 顧客の課題をヒアリングする力
- 論理的に思考する力
- 売上数字を逆算して計画を立てられる力
- 数字にコミットメントする胆力
など、多くの汎用的なスキルが身につきます。
これらは他の技術職などと違い、一度身につけてしまえば、比較的長く通用し、様々な業界や職種で応用が利くスキルです。
営業職として働いた後のキャリアパスについては、下記記事にて詳しく解説されているので、是非チェックしてみてください。
【営業職のキャリアパスを解説】営業スキルが求められる職種とは?
事業や産業構造の解像度を上げられる
当然ながら営業職として働くと、ほぼ毎日お客様との対話を重ねることになります。
お客様の話を聞いたり、提案を繰り返していくことで、
「世の中にはこんなビジネスモデルがあるのか」
「この業界にはこんな課題がありそうだな」
「お客様はこんなことを考えてサービスを購入するのか」
といった、現場でしか得られない多くの気づきを得ることができます。
特に、人材や広告などの業界横断的な法人営業では、様々な事業、立場の人と接する機会があるため、産業構造の理解度を数年で高めることができます。
筆者も今はキャリアアドバイザーとして仕事をしていますが、過去に営業職として多くの顧客と接したことで、世の中の仕組みや経済の動きを理解できた実感があります。
営業職以外の職種では、数年というスピードで自社事業以外の解像度を上げることは困難です。
こういった視座を早期に高められるのも、営業職の大きな魅力の1つなのです。
未経験でも転職できるチャンスが多い
営業職は、未経験でも応募可能な求人が多いのも特徴。
企業がお客様に直接サービスを販売するには、どうしても人手が必要になります。
そのため現在の転職市場では、営業人材の需要は高い傾向にあり、未経験で営業を目指したい求職者にとってはチャンスが多い状態なのです。
しかし、現在の求人数が今後も維持されるとは限りません。
将来、AI等のテクノロジーが発達し、「人間がやるべきこと」「人間がやらないこと」がはっきりしていきます。
営業活動の効率が上がり、営業ツールを使いこなすことが当たり前になると、営業職は現在のエンジニアのように専門職的な位置づけになっていく可能性があります。
世の中の営業職の人員も減っていき、一定の経験やスキルを見られるようになります。
今後の世の中の動きを考えると、未経験から営業職へのチャレンジは、できるだけ早いタイミングが望ましいといえるのです。
未経験から営業職へ転職するための注意点
魅力の多い営業職ですが、未経験から転職を目指すうえでの注意点を説明していきます。
労働環境の条件が悪い可能性がある
営業職の求人の中には、一定数の社員が辞めることを前提に募集をかけている企業が存在します。
- ノルマが不当に厳しすぎる、
- 上司や取引先からの罵倒が多い、
- 労働時間が極端に長い
など、就業環境が整っておらず、スキルが身につかない職場では、自分が望んだキャリアを描くのは難しいでしょう。
特に「やけに簡単に面接に通過し、評価されたポイントが不明瞭」な企業には要注意。
そういった企業では、社員が定着せず常に人手不足で、自転車操業のように採用活動をしていることが考えられます。
労働環境の悪い企業への転職を防いでいくためにも、エージェントを利用する際は、
その業界や職種に精通し信頼できるエージェントを選んでいくことが重要です。
年収が一時的に下がってしまう可能性がある。
営業職に限らず、未経験での転職では一時的に年収が下がる可能性があります。
転職には、「経験を買うための転職」「経験を売る転職」の大きく2種類があると考えられます。
そして前者の場合は、一定の年収ダウンを受け入れる必要があるでしょう。
しかし、処遇面を全く考慮しなければ、入社後にミスマッチが起こる可能性は高まります。
そのため、転職活動時や、内定承諾前には、
- 自分はどの程度なら年収ダウンのリスクを許容できるか?
- 何歳までにいくらの年収が欲しいのか?
- 転職先でその希望が叶う評価制度はあるのか?
といった点を、入念にすり合わせるようにしてください。
求人が多い=誰でも内定が出る というわけではない
求人数が多い営業職ですが、やはり未経験でチャレンジする以上、それなりのハードルは付きもの。
(前述のとおり、逆に全くハードルが無い企業は要注意です。)
あなたと同じ求人に応募しているライバルの中には、営業経験者も多くいるはずです。
ライバルに勝つために自身をどうアピールするか?という戦略が、未経験からのチャレンジには求められます。
きちんと時間をかけて、武器を棚卸、言語化していきましょう。
未経験から営業職の採用面接で、面接官が見ている3つのポイント
採用面接の場では、面接官はどんな点を見ているのでしょうか。
営業で活躍する素養を感じさせるコミュニケーションができるか
営業職は、面接での対人印象が選考の合否に直結するのが大きな特徴。
身だしなみや声のトーンなどはもちろんのこと、以下のような視点で評価をされます。
- 質問に対し、結論から端的に回答できているか
- 具体例や例えを交えて、わかりやすい説明ができるか
- 「自分を採用するメリット」を訴求できているか(自分を商品として売りこめているか)
- 応募先企業の利益構造やビジネスモデルを把握できているか
なぜなら、営業職は日々の業務において
「わかりやすく説明する力」
「相手のメリットを提示する力」
「事前に情報を集めて理解を深める力」
などの能力が求められる仕事だからです。
逆に言えば、これらの点を面接でアピールすることで、未経験でも戦力となる期待を感じさせることができます。
是非、何度も繰り返し面接練習、企業研究をすることで、営業経験者に負けないコミュニケーション力を磨いていきましょう。
長期的に働く意思を感じられるか
企業が未経験者を採用する場合は、中長期的に育成することが前提になります。
そのため「すぐに辞められてしまわないか?」という点を入念に確認します。
具体的には、
- なぜ未経験で営業職にチャレンジしようと思ったのか
- 営業職として、どんなことをやっていきたいか
- 今後のキャリアプランをどのように考えているのか
といった質問を通して、
- 現職が嫌だという理由だけでの転職ではないか?
- 自分の頭で考えてキャリアを考えられているのか?
- 転職の動機や志望理由に一貫性があるか?
といった点を深堀していきます。
長期的に働く意思をアピールするためにも、今一度、未経験から営業職へ転職する目的を整理しておきましょう。
営業職のイメージにギャップが無いか
営業職の業務内容や働き方のイメージにギャップが無いかどうかも、企業が重視するポイントです。
未経験での転職の場合、「仕事のイメージが違った」という理由で退職してしまう人は少なくありません。
その可能性を極力下げるためにも、面接官は以下のような点を見ています。
- 仕事の流れや実際の業務を、映像レベルで具体的にイメージできているのか
- 営業職として働く上でのつらさを理解し、乗り越える気持ちがあるか
- 自分に足りていないスキル・能力を整理できているのか
職種研究を通して、転職後の自分が働く姿をリアルに想像することで、
転職後に自分はどんな業務をして、何に悩み、どんなスキルが足りないのかを説明できる準備をしておきましょう。
未経験から営業職の転職活動時に準備すること
ここまでの内容を踏まえて、準備しておくべきことを整理します。
自己分析を通してキャリアプランを決める
長期的な活躍をアピールするには、なぜ営業職を目指すのか?を自分の言葉で語ることが重要。
本記事で営業職の魅力を説明してきましたが、これはあくまでも1つの側面にすぎません。
「あなた自身が、営業として働くことを、自分のキャリアにどう位置づけるのか?」
を考えるには、一朝一夕では難しく、時間がかかります。
しかし、一度しっかりと自分と向き合い、面接官に納得感してもらえる一本のストーリーを作れれば、
骨太の志望動機ができ、想定外の質問にも柔軟に対応できるようになります。
キャリアプランを立てる上では下記記事も参考にしてみてください。
【キャリアプランってどう立てたらいいの?】キャリア形成を考えるポイントを徹底解説
応募先企業に合わせたアピールを準備する
未経験の転職でも、「自分を採用するメリットはこれです!」と提案できると一歩リードできます。
自身の過去の経験を振り返り、
「どんな経験、エピソードが営業職としてアピールできそうか?」を考えてみましょう。
営業職は汎用性の高いスキルが求められるため、あなたのこれまでの経験にも、活かせる何かはあるはずです。
例えば、以下のようなアピールが考えられます。
- 事務からの転職の場合(先回りして動ける力をアピール)
事務職として働いていた現職では、営業担当の動きを観察することで、「次にどんな資料、情報が必要になるのか」を常に考えています。頼まれる前に予め準備をしておくことで、効率化を図ることができました。
顧客との長期的な関係構築が必要な御社の営業担当としても、お客様のニーズを先回りして察知し、痒いところに手が届く対応を継続することで、信頼関係を築いていけるのではと考えています。
- 接客職からの転職の場合(自ら情報収集できる力をアピール)
アパレル企業の現職では、誰よりも多く情報収集することを大切にしています。
新商品が出た際は、社内で共有される情報を読み込んだり、SNSなどで口コミを確認することで、ブランド側の思いとお客さまの声の双方を届ける接客を行い、売上に貢献してきました。日々多くの商品を扱う御社のアカウントセールスとしても、商品知識やお客様の声などの情報を集めることで、より説得力のある提案に活かしていけるのではと考えています。
上記のように、応募先の営業スタイルや対象顧客に合わせてエピソードを伝えられると、より好印象に繋がります。
そこで役に立つのが、第三者からのアドバイスです。
転職エージェントや、営業として既に活躍している人から情報収集することがおすすめ。
そうすることで、自分が転職後に働いている超具体的イメージや、選考通過のためにアピールすべき経験の整理ができます。
「これまで培ってきたこのスキル、考え方は営業職に転用できそうだな」という観点で、自分の経験を棚卸しすると、選考での心強い武器となるでしょう。
職種研究や自己PRを考える上で、下記記事も参考にしてみてください。
面接練習を繰り返し、対人印象をブラッシュアップしていく
対人印象が重要な営業職の面接では、場慣れができているかどうかで大きな差が生まれます。
特に、自覚をしていない癖や悪い印象は、練習を通して自覚し直していきましょう。
<よく見られる癖や悪い印象>
- 話が長くなりがちで、端的な会話ができない
- 語尾や言葉遣い、身振り手振りに違和感があり、内容が伝わってこない
- 相槌が軽く、適当に話を聞いている印象がある
- 目線が合わず、自信がないように見える
これらのような細かい部分は、どんな人でも無自覚のうちにミスをしてしまいがちです。
日常生活では、話し方の特徴や癖を指摘される場面はなかなかありません。
自分が話している姿を録画する、エージェントと練習するなどで、客観的な視点で自分の印象を確認し、改善に役立てていきましょう。
本記事を最後までお読みいただき、ありがとうございました!
本記事が、あなたの転職活動や今後のキャリアに少しでも役立てましたら幸いです。