SaaS営業から人材営業に転職するには?|違い・向き不向き・キャリアの展望を解説
近年、SaaS営業から人材営業へとキャリアチェンジする人が増えています。その背景には、商材や営業サイクルの違いを通じて自分の価値観に気づき、「人を直接支援する実感」を求めるようになるケースが多いことが挙げられます。
SaaS営業で培った課題解決力や提案力は、人材業界でも高く評価されやすく、スキルの「応用先」としても人気です。一方で、年収や働き方、カルチャーのギャップに直面することもあるため、転職前には仕事内容や評価制度の違いを理解することが重要です。
本記事では、SaaS営業と人材営業の違い、向き不向き、転職時の注意点や成功のコツなどについて解説します。
目次[非表示]
- 1.SaaS営業から人材営業に転職する人が増えている理由
- 2.SaaS営業と人材営業の違いを比較
- 2.1.商材・提案対象・営業サイクルの違い
- 2.2.成果の評価軸・やりがいの違い
- 2.3.営業スタイルの違い
- 3.人材営業に向いている人・向いていない人
- 3.1.向いている人の特徴
- 3.2.向いていない可能性がある人の特徴
- 4.SaaS営業経験者が人材営業に転職するメリット・デメリット
- 4.1.スキルの汎用性とキャリアの広がり
- 4.2.年収・働き方・カルチャーのギャップに注意
- 5.実際の転職事例に学ぶ|転職後のギャップとリアル
- 6.人材営業へ転職すSaaS営業からる際の注意点と準備
- 6.1.志望動機のつくり方
- 6.2.面接で見られるポイントと突破のコツ
- 6.3.職務経歴書の書き方
- 7.よくある質問(FAQ)
- 7.1. Q. SaaS営業から人材営業に転職して後悔することは?
- 7.2.Q. 年収は下がりますか?
- 7.3.Q. 未経験でも採用されますか?
- 7.3.1.■ 採用ニーズが高い背景にも注目
- 7.4.Q. 法人営業経験がないと厳しい?
- 8.迷ったらプロに相談を|あなたに合った選択肢を一緒に考えます
SaaS営業から人材営業に転職する人が増えている理由
近年、IT業界で経験を積んだSaaS営業から、人材業界の営業職へと転職するケースが少なくありません。
その背景には、SaaS営業をしていく中で自分の価値観との違いに気づいたり、人との直接的なかかわりを求めるようになったり、自身の営業スキルを新たなフィールドで試したいとといった理由が挙げられます。近年はDX推進やリモートワークの普及に伴い、SaaS業界の競争環境が変化する中で、自分の価値を直接感じられる仕事をしたいと感じる人も増えているのかもしれません。
また、SaaS営業で培った提案力や課題解決力が、人材営業でもそのまま活かせることから「キャリアの応用先」として注目されているのも大きな理由です。
ここでは、具体的な3つの視点からSaaS営業から人材営業へ転職する人が増えてきている理由を解説します。
「営業スタイル」「価値観」の違いに気づく人が多い
SaaS営業はデータや数値をもとに提案を最適化する数字ドリブンな営業スタイルが特徴です。一方、人材営業は求職者や企業担当者の感情や背景に寄り添いながら、長期的な信頼関係を築く仕事です。
例えば、SaaS営業では提案時に「ROI(投資対効果)」や「業務効率の改善率」といった定量的指標が必ず重視されますが、人材営業では「この人とこの企業が一緒に働くことで得られる相乗効果」や「文化的な相性」といった、数値化しにくい要素が意思決定に大きく影響します。
SaaS営業としての日々の業務を通じて、「効率やKPIだけでなく、人の感情に向き合う営業がしたい」」「数字だけでは測れない価値を扱いたい」といった想いに気づき、より自分らしく働ける環境を求めてキャリアを見直す人が増えています。
「人を支援する実感」と「社会への影響力」を求める傾向
SaaS営業では、業務効率化や売上拡大といった企業課題の解決に貢献できる一方で、エンドユーザーや個人の人生に直接影響を与える機会は多くありません。
これに対し、人材営業は転職成功や採用成立といった人生の転機に立ち会えるため、「自分の提案が誰かの人生を変えた」と実感できるシーンが多くあります。
実際、人材営業(転職支援)を行った結果、「転職後、年収が上がって生活が安定した」「新しい職場でやりがいを見つけた」といった感謝の声を受けることも珍しくありません。こうした直接的なフィードバックが、日々のモチベーションを大きく支えてくれるのです。
「人の役に立ちたい」「社会にポジティブな影響を与える仕事がしたい」という価値観を持つ人にとって、人材営業は非常に魅力的なキャリアパスとなります。
営業スキルの“応用先”として人材業界が人気に
SaaS営業で培った課題解決力、仮説思考、無形商材の提案スキルは、人材営業でもそのまま活かせる汎用的な能力です。
顧客のニーズを深くヒアリングし、最適な解決策を提示するプロセスは両業界に共通しており、商材が「システム」から「人材」に変わるだけで応用が可能です。
そのため、業界知識がゼロでも即戦力として期待されるケースが多く、キャリアの選択肢を広げたいSaaS営業経験者にとって、人材業界は魅力的な転職先になっています。
また、人材業界は変化が早く競争も激しいため、常に学び、成長し続ける意欲を持った人材が求められる傾向があります。「営業として、より幅広い業界に携わりたい」「提案の本質をさらに深く突き詰めたい」と考える人にとっても、人材営業は新たなチャレンジの場となるでしょう。
SaaS営業と人材営業の違いを比較
SaaS営業と人材営業は「営業」という共通点こそありますが、扱う商材や提案対象、成果の評価方法、日々のスタイルなどが異なります。
SaaS営業は再現性の高い仕組みやデータを軸に成果を出すのに対し、人材営業は相手の状況や感情に合わせた柔軟な対応が必要です。
以下では、両者の特徴を3つの視点から整理します。各項目で初めに表で簡易的に比較していますので、確認していきましょう。
商材・提案対象・営業サイクルの違い
項目 |
SaaS営業 |
人材営業 |
商材 |
ソフトウェア・クラウドサービス |
人材 |
提案対象 |
法人(企業)のみ |
法人+個人(求職者) |
営業サイクル |
中長期(導入検討~契約) |
短~中長期(求人提案~成約) |
顧客接点の範囲 |
限定的 (IS/FS/CSで分業されがち) |
一気通貫 (企業・求職者の双方を継続対応) |
SaaS営業は、企業の業務効率化やDX推進を目的としたサービスを扱います。導入前の検討、社内稟議、効果検証など複数工程を経るため、商談から契約までに時間がかかるのが一般的です。また、THE MODEL型の分業体制(インサイドセールス・フィールドセールス・カスタマーサクセス)を採用している企業も多く、営業の関わる範囲が限定的になる傾向があります。
一方、人材営業は求人ニーズに対して迅速に候補者を提案し、面接や条件調整を経て短期間で成約に至るケースが多く、スピード感が求められます。同時に、求職者の状況や意向に寄り添った丁寧な面談設計やサポートも必要で、対応のバランス感覚が問われます。
さらに人材営業は、法人対応(RA)と個人対応(CA)の両方を一気通貫で担うケースも多く、企業と求職者の両方と継続的な関係を築くことになります。提案の幅や支援の深さ、介在価値を感じやすい環境といえるでしょう。
SaaS営業から人材営業に転職される方の中には、「ISとして商談を作るだけ」「CSとして導入後のフォローしかできない」といった営業プロセスの一部しか担えないことに物足りなさを感じていたという声もあります。
人材営業では顧客との接点が初期からクロージング、さらには入社後まで続くため、より深く価値貢献したい方にはやりがいを感じられる領域です。
成果の評価軸・やりがいの違い
項目 |
SaaS営業 |
人材営業 |
評価軸 |
など定量指標 |
(企業ごとに異なる) |
やりがい |
数字達成による達成感 |
人や企業の成長を支援する実感 |
SaaS営業は契約件数やMRR(毎月の定期収益)、継続率など、明確な定量指標によって成果が評価され、PDCAを高速に回せる環境が整っています。
一方、人材営業は企業や組織によって評価軸が多様です。KPIとして成約数や売上が重視されることもあれば、求職者や企業側の満足度・継続的な関係構築といった質的な指標を重視する企業も存在します。
また、やりがいの源泉も異なります。SaaS営業は多くの人が数字達成へのモチベーションが強いのに対し、人材営業では面談後の感謝の言葉や成約後の活動報告など、人の人生やキャリアに直接貢献できる実感が仕事のやりがいにつながる傾向があります。
営業スタイルの違い
項目 |
SaaS営業 |
人材営業 |
スタイル |
|
|
コミュニケーション |
データや事例に基づくロジカル提案 |
相手の状況に応じた柔軟な会話 |
SaaS営業は、営業プロセスがテンプレート化・標準化されており、製品デモや成功事例を活用し、誰が担当しても一定の成果が出せるように営業プロセスが標準化されています。そのため、新人でも比較的早く成果を出せる反面、柔軟な対応や感情的な要素は限定的です。
人材営業は、担当者の人柄や信頼関係が大きく成果に影響します。同じ求人でも面談の進め方やヒアリングの深さ、相手に寄り添う姿勢によって、結果が大きく変わることもあります。
また、企業や求職者の状況は常に変化するため、画一的な対応ではなく、柔軟かつ個別最適な対応力が求められます。
人材営業に向いている人・向いていない人
人材営業は、企業と求職者の双方に向き合い、最適なマッチングを実現する仕事です。
数字だけでなく、人の感情や背景を理解しながら進めるため、向き不向きが比較的はっきりしています。
ここでは、人材営業に向いている人と、やや相性が合わない可能性がある人の特徴を整理していきましょう。
向いている人の特徴
人材営業に向いているのは、まず相手の話を丁寧に聴き、真意や背景をくみ取る傾聴力を持つ人です。
加えて、求職者や企業の意思決定の過程に興味を持ち、「なぜこの選択をしたのか」を理解しようとする探究心も重要です。また、転職活動や採用活動は結果が出るまでに時間がかかる場合も多いため、中長期的な視点で物事を考え、粘り強く関係を築ける人が活躍しやすい傾向にあります。
成果がすぐに出なくても、過程に価値を見出せるタイプが適しているといえるでしょう。
向いていない可能性がある人の特徴
完全成果主義で「数字だけが評価軸」という環境を好む人は、人材営業とミスマッチになる可能性があります。
人材営業では、成果はもちろん、マッチングの質や顧客満足度など定性的な評価も重視されるため、短期的な数字に偏りすぎるとやりがいを感じにくくなります。
また、業務が担当者ごとの関係性や判断に左右される属人性が高い点も特徴で、標準化されたプロセスやマニュアル依存を好む人にとってはストレス要因となり得ます。
柔軟性や感情面への対応が苦手な人は注意が必要です。
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SaaS営業経験者が人材営業に転職するメリット・デメリット
SaaS営業と人材営業は商材も営業スタイルも異なりますが、SaaS営業で培ったスキルを活かしながら新たなやりがいを得られる可能性があります。
一方で、年収体系や働き方、評価基準などのギャップに戸惑うケースも少なくありません。
ここでは、SaaS営業経験者が人材営業に転職する際の主なメリットとデメリットを整理します。
スキルの汎用性とキャリアの広がり
SaaS営業で鍛えた課題解決力、仮説構築力、法人折衝スキルは、人材営業でも高く評価されます。
特に、無形商材を扱い、顧客ニーズに合わせた提案を行ってきた経験は、企業の採用課題や求職者のキャリア課題に対しても直接的に応用可能です。
さらに、人材営業で得られる「人と組織」に関する知見は、将来的にキャリア支援領域や組織人事、HRBP(人事ビジネスパートナー)などへのキャリアパスを広げる可能性もあります。顧客企業の経営層や人事担当者との関係構築を通じて、ビジネス全体の構造や組織運営のリアルを学べる点は大きな魅力です。
SaaS営業を経て人材営業を経験することにより、単なる営業職としての成長だけでなく、経営や人事領域に深く関わるキャリアの選択肢が増えていくでしょう。
年収・働き方・カルチャーのギャップに注意
SaaS営業から人材営業に移る際、多くの人が驚くのが年収や働き方の違いです。
SaaS企業では固定給が一般的で、契約継続による安定的な収入が見込めます。一方、人材営業では企業によって制度が異なりますが、契約成約数や稼働人数といった短期成果に連動したインセンティブが導入されているケースもあり、成果によって収入に変動が生じることがあります。ただし、すべての企業がインセンティブ比率の高い設計になっているわけではなく、固定給中心で安定した収入を得られる会社も存在します。報酬体系は応募前に確認しておくことが大切です。
また、SaaS営業は分業体制が整っており、リード獲得から契約後フォローまで役割が明確なことが多いですが、人材営業は担当者が企業・求職者双方を一気通貫で対応するケースもあり、業務の属人性が高くなりがちです。
加えて、人材営業では数字目標だけでなくマッチングの質や顧客満足度といった定性的評価も重視されるため、文化や評価基準の違いに適応する準備が必要です。
実際の転職事例に学ぶ|転職後のギャップとリアル
case①数字だけを追う営業から、人と向き合う営業へ
SaaS営業から人材営業へ転職したある方は、「数字を達成すること」への意識が強く、当初は人材営業でも同様に成果を出そうと意気込んでいたといいます。
しかし、目の前の数字ばかりにとらわれてしまい、求職者との面談で本音を引き出せなかったり、企業側との関係が築けなかったりと、成果に結びつかない時期が続いたそうです。
特に人材営業では、求職者と企業の双方の意図や温度感を丁寧にすり合わせる見えない調整力が求められます。
「すぐに結果を出すことよりも、中長期的に信頼関係を積み上げていくことの方が、長い目で見たときに確かな成果につながる」と気づいたことで、営業スタイルを根本から見直すことができたといいます。
case②一人ひとりに向き合う難しさに直面したリアル
別の方は、SaaS営業のようにロジカルな提案で商談を進めることに慣れていたため、人材営業における「面談の個別対応」の難しさに戸惑ったと語ります。
人材営業では、相手が個人である分、それぞれの価値観や転職理由、理想のキャリア像が異なり、面談の進め方も一人ひとりに合わせて変える必要があります。
「マニュアル通りにはいかない」「テンプレ提案が通じない」──そんな経験を通じて、状況に応じた“寄り添う力”の重要性を実感したそうです。
また、求職者との関係構築に集中しすぎた結果、企業側との信頼関係が薄くなってしまい、紹介がスムーズに進まない場面もあったとのこと。人材営業では「両者のバランスを見ながら信頼を得ていくプロセス」が何よりも重要だと感じたといいます。
人材営業へ転職すSaaS営業からる際の注意点と準備
SaaS営業から人材営業への転職は、業界もカルチャーも異なるため、準備不足だと面接や書類選考で「なぜ人材業界なのか」「活かせるスキルは何か」が伝わらず不採用になるケースもあります。
対策として、魅力的で一貫性のある志望動機、面接での回答の深さ、職務経歴書のアピール方法を意識することで、経験を強みに変えて選考突破率を高められます。
それぞれのポイントを確認していきましょう。
志望動機のつくり方
SaaS営業から人材営業へ転職する際は、両者の「違い」だけに注目した動機では説得力が弱まります。例えば、「数字より人の感情に寄り添いたい」という理由だけでは、転職後の活躍イメージが伝わりにくくなります。
効果的なのは、両者の「共通点」と「違い」を組み合わせて語ることです。共通点としては、課題解決型の提案営業や無形商材を扱う点、複数ステークホルダーとの折衝経験などがあります。そこに「より人のキャリアや成長に直結する価値を提供したい」という違いを加えることで、一貫性のある志望動機になります。
このように、違いと共通点を組み合わせて一貫性を持たせることで、面接官に納得感を与えられるでしょう。
💡志望動機の作り方はこちらを参考にしてください
営業職で転職を目指すなら、志望動機は「業界」「職種」「企業」を軸に考えよう!志望動機作成の“3つ”の手順
面接で見られるポイントと突破のコツ
人材営業の面接では、「なぜSaaSから人材業界なのか」「人材業界でどんな貢献ができそうか」という質問が頻出します。この際、「人が好きだから」という抽象的な理由だけでは不十分です。
前者の問いに対しては、業界や商材の違いを踏まえつつも、SaaS営業で培ったスキルの転用可能性を示すことが大切です。後者に対しては、企業と求職者双方への理解力や関係構築力を強調しましょう。
また、成果としては数字だけでなく、関係構築やマッチングの質を重視する姿勢をアピールすることが突破の鍵です。さらに、実際の営業プロセスや対応事例を交えて説明すると、面接官が具体的な活躍シーンをイメージしやすくなるでしょう。
職務経歴書の書き方
職務経歴書では、SaaS営業での実績を数値で示すだけでなく、その成果を生み出すために行ったプロセスや工夫も明記しましょう。
例えば、「案件化率を高めるために仮説検証を週単位で実施」「関係性構築のために顧客の事業計画を徹底的に分析」など、再現性のある行動を具体的に書くことが重要です。
また、人材営業に直結する要素(無形商材営業、法人折衝、複数関係者との調整)を意識して強調すると、未経験でも即戦力としての印象を与えられます。
数字とエピソードを組み合わせ、読み手に「この人なら成果を出せそう」と思わせられるような職務経歴書を作成しましょう。
💡SaaS経験者の志望動機の書き方はこちらを参考にしてください。
インサイドセールス特化のキャリアパス完全ガイド|転職先別の志望動機例文と職務経歴書テンプレート付き
フィールドセールス特化のキャリアパス完全ガイド|転職先別の志望動機例文と職務経歴書テンプレート付き
カスタマーサクセス特化のキャリアパス完全ガイド|転職先別の志望動機例文と職務経歴書テンプレート付き
よくある質問(FAQ)
SaaS営業から人材営業への転職を検討する際、多くの方が共通して抱く疑問があります。
ここでは、実際の転職者や採用担当者の声を踏まえ、特に質問の多い4つのテーマについて詳しく解説します。
Q. SaaS営業から人材営業に転職して後悔することは?
SaaS営業から人材営業への転職後に聞かれる後悔の声で多いのは、「成果の出し方や評価基準が大きく変わったことへの戸惑い」です。
SaaS営業では契約継続やアップセルが中心ですが、人材営業は短期的な成約数やマッチング精度が評価軸となります。また、業務の属人性が高く、1人の担当者が企業と求職者双方をフォローするため、想定以上にスケジュールが流動的になることもあります。
さらに、人材営業は「人」と向き合う業務のため、求職者の希望や心境の変化によって、直前で予定が覆るケースも少なくありません。これにより、自分のコントロール範囲外の要因で成果が左右されるストレスを感じる人もいます。
一方で、「顧客や候補者から直接感謝される機会が増え、やりがいが大きい」と満足する人も多数います。「SaaS営業時代は数字に追われる感覚が強かったが、人材営業では数字の背景にある人の人生や企業の成長を感じられる」という人もいるでしょう。
後悔を避けるには、事前に日々の業務や評価制度を理解し、自分の価値観や働き方の希望と照らし合わせることが重要です。
Q. 年収は下がりますか?
転職した後、初年度の年収はSaaS営業時代より下がるケースもあります。
SaaS営業は固定給ベースで安定的な給与体系を採用している企業が多く、一部インセンティブがある場合でも全体の比率としては高くありません。そのため、成果に左右されにくい収入構造が特徴です。
一方、人材営業では成功報酬型やハイブリッド型など、会社ごとに報酬制度が異なるため、成果の出方によって収入に振れ幅が出やすい傾向があります。
たとえば「完全歩合制に近い変動型インセンティブ」を採用している企業もあれば、「固定給を厚く設定し、成果に応じたボーナスを加えるハイブリッド型」の企業もあります。
特に転職直後の3〜6ヶ月は企業・求職者との関係構築に時間がかかるため、すぐに成果が出ない期間も想定しておくことが重要です。
ただし、個人の成果次第で大幅な年収アップも狙えるのが人材業界の特徴です。実際、2〜3年目以降にSaaS営業時代の年収を超えたという事例は珍しくありません。
転職前には、以下のような点を必ず確認しておきましょう。
- 固定給とインセンティブの比率
- インセンティブの算出基準(成約数、売上、稼働人数など)
- 実績が出るまでの平均期間とサポート体制
- 同ポジションの先輩社員の実際の年収推移
可能であれば、現場社員の声や事例を聞き、「自分の志向に合った報酬制度か」を見極めることが、転職後の納得感につながります。
Q. 未経験でも採用されますか?
人材営業への転職は、未経験でも十分にチャンスがあります。実際に、未経験からの転職者が活躍している事例は多く、特にSaaS営業経験者は高く評価されやすい傾向にあります。
特にSaaS営業経験者は、課題ヒアリング、提案資料作成、複数ステークホルダーとの調整など、人材営業と共通するスキルを持っています。とくに法人向け提案営業の経験は、企業側との折衝や人材ニーズの把握に直結します。
重要なのは、「人や組織に貢献したい」という動機を明確に語れることと、業界特有のスピード感や柔軟性への適応力を示すことです。面接では、過去の営業経験を単なる数字の達成だけでなく、「顧客の課題を解決したプロセス」や「関係構築の工夫」といったストーリーで説明できると効果的です。
■ 採用ニーズが高い背景にも注目
人材業界は労働集約型のビジネスモデルです。
企業が売上を拡大するためには、より多くの求職者対応・法人提案を行う営業人材の存在が不可欠であり、一定の売上ごとに採用枠が増えていく構造をとっています。
そのため、未経験でも意欲やポテンシャルのある人材を積極的に採用する企業が非常に多いのが実情です。人材業界の営業経験者が市場に少ないこともあり、「育成前提」で採用を進める企業も少なくありません。
報酬形態も多様で、以下のような設計が見られます。
- 固定給+成果連動ボーナス型(例:四半期単位で支給)
- 完全インセンティブ制(売上の◯%を還元)
- 固定+チーム成果に連動した分配型 など
給与制度は企業によって大きく異なるため、選考前にしっかりと確認することが大切です。
Q. 法人営業経験がないと厳しい?
人材営業では法人企業へのアプローチが業務の中心になることが多いため、法人営業経験があるのは有利です。
特に新規開拓や課題解決型の提案経験は評価されやすく、即戦力として期待されます。また、企業規模や業界特性によって商談の進め方が異なるため、法人顧客特有の意思決定プロセスを理解していると、業務のキャッチアップが早まります。
ただし、法人営業経験がなくても、個人営業で培った傾聴力やニーズ把握力、成約までのプロセス管理力をアピールできれば、採用される可能性はあります。
その場合は、法人顧客への対応にも転用できる根拠を具体的なエピソードで示すことが重要です。例えば、不動産や保険の営業で培った信頼構築のスキルが、法人担当者との長期的な関係維持に活きることを説明するなど、明確なつながりを示すと説得力が高まります。
迷ったらプロに相談を|あなたに合った選択肢を一緒に考えます
SaaS営業から人材営業への転職は、商材や営業スタイルが大きく変わる一方で、課題解決力やヒアリング力といった基礎スキルを活かせる点が魅力です。
人材営業は、数字だけでなく求職者や企業の成長に寄与する実感が得られる反面、成果がすぐに見えにくくなったり、年収や働き方にギャップを感じたりする可能性もあります。
成功の鍵は、志望動機を明確にし、面接での評価ポイントを押さえた準備を行うことです。もし迷う場合は、転職エージェントや経験者への相談を通じて、自分に合うキャリアかを見極めていきましょう。
SQiL Career Agentでは、SaaS企業や人材営業に関する知見や求人も多数を持っています。
今の自分がどのような業界や職種に挑戦できるのか知りたい方は、まずはこちらからSQiL Career Agentにご相談ください。